血液学検査このページを印刷する - 血液学検査

血液一般検査

血液一般検査は血液中に含まれる赤血球、白血球、血小板の量や大きさを調べる検査です。
  • 赤血球:貧血や出血、慢性感染症で減少し、多血症で増加します。
  • ヘモグロビン:赤血球中に存在し、酸素と結びつく性質があります。ヘモグロビンの値が低くなると貧血となります。
  • 白血球:感染症、白血病などで増減します。化学療法では白血球の数が重要になります。
  • 血小板:出血傾向の判定など凝固検査と共に用いられます。
 

血液像検査

赤血球、白血球、血小板の形や異常な細胞が出現していないか、標本を作製し、染色して、顕微鏡で判定する検査です。異常が見つかると骨髄検査を行い、確定診断を行います。白血病の治療効果の診断にも使用されます。

 

 

赤血球

大きさ8μで核がなく、中心がくびれた円盤状で1mm3.中に300万~400万個も含まれています。 鉄欠乏性貧血は貧血の中でも一番多く、文字通り鉄不足により赤血球成分が作れなくなり、赤血球の大きさは小さくなります。 ビタミンB12、葉酸欠乏による貧血は、反対に赤血球が大きくなります。

 

白血球

生体防御機能、免疫機能を担当し、大きく分けて5種類あります。

好中球

細菌類の捕食・殺菌を行います。

リンパ球

抗体(免疫グロブリン)などを使ってあらゆる異物に対して攻撃します。特にウイルスなどの小さな異物や腫瘍細胞に対して、攻撃をします。

単球

感染に対する免疫の開始に重要であり、細菌などの異物を細胞内に取り込み、殺菌を行います。断片化した異物を、リンパ球に抗原提示して、免疫反応が開始されます。

好酸球

主な役割は寄生虫・寄生虫卵の傷害とアレルギー反応の制御を行います。

好塩基球

生体内のアレルギー反応の中心的な役割を果たします。生体の免疫機能に関与していると考えられるが、はっきりとした存在意義は不明です。

 

血小板

出血したときに、傷口を塞ぎ止血をする役割があります。血小板の数が少ない場合、血小板凝固機能が異常の場合は出血が止まりにくくなります。 血管に破損がなく血管内で止血機能が働いた場合、血栓となり血管が詰まってしまいます。心臓の血管で詰まることを心筋梗塞、脳の血管で詰まることを脳梗塞と言います。心筋梗塞、脳梗塞は別の要因でも起こることがあります。

 

凝固検査

凝固検査とは、血液が固まる機能を調べる検査です。人間の体は、止血する機能(凝固)と、血栓を溶かす機能(線溶)を持っています。通常はこの二つの機能はバランスよく働きますが、どちらかの機能が亢進または抑制されることにより血液凝固異常が起こります。
主な検査項目としてPT、APTT、Fib(フィブリノゲン)などが挙げられます。PT、APTTは血液が固まるまでの時間をみる項目です。ワーファリンのモニタリングにはPT-INRを用いています。Fibは血液が固まる時に必要なたんぱく質です。感染症や心筋梗塞などで上昇し、血栓ができている時は消費されて減少します。また、Fibは肝臓で合成されるため、肝機能検査にも用いられます。
凝固検査を行うことで、心筋梗塞や脳梗塞、DIC(播種性血管内凝固症候群)などの疾患の有無や程度、ワーファリンやヘパリンなどの薬の治療効果を調べることができ、術前検査にも利用されます。

 

骨髄検査

骨髄検査は骨の中(骨髄)にある骨髄液を吸引、または骨組織を含む造血組織を採取する方法によって行われる造血組織の検査です。目的は貧血症の精査、血球減少の精査、血球増多の精査、血液疾患の診断(急性白血病の疑い、リンパ系腫瘍の疑い、悪性リンパ腫の骨髄浸潤、癌の骨髄転移)、不明熱や肝脾腫の精査、治療効果判定、再発の有無などを判断するために行われます。
骨髄検査には骨髄像の鏡検、病理組織検査、染色体・遺伝子検査、細胞表面マーカー分析などの検査があり、これらを組み合わせて診断・治療効果判定が行われます。

 

急性前骨髄性白血病の症例