前立腺がんの最新の治療薬についてこのページを印刷する - 前立腺がんの最新の治療薬について

前立腺がんの治療薬として最も新しいものがラジウム223(商品名ゾーフィゴ)です。ゾーフィゴは平成28年3月に、骨転移を有する去勢抵抗性前立腺がんの治療薬として承認されました。当院では平成29年5月より治療を開始しています。前立腺がんは骨に転移しやすいがんです。月に1回静脈注射を行い、選択的に骨転移部位に取り込まれ治療効果を発揮します。

ゾーフィゴの作用機序

ゾーフィゴは、アルファ線と呼ばれる放射線を出す「ラジウム-223」という放射性物質です。このラジウム-223には、カルシウムと同様の骨に集まりやすい性質があり、骨代謝の亢進したがんの骨転移巣に集積します。そこから放出されるアルファ線が、がん細胞の増殖を抑えます。

ゾーフィゴの適応と治療効果

ゾーフィゴの適応は、骨転移を有する去勢抵抗性前立腺がんです。去勢抵抗性前立腺がんとは、ホルモン療法が効かなくなった状態の前立腺がんです。骨髄機能が低下した方や、内臓転移のある方は適応から外れる場合があります。詳しくは泌尿器科の治療担当医にお尋ねください。臨床試験において、ゾーフィゴはプラセボ(生理食塩水)と比較して、全生存期間の延長を認めました。また、症候性骨関連事象発現までの期間の延長も認めました。
[ 症候性去勢抵抗性前立腺癌患者を対象とした国外第III相臨床試験 ]

ゾーフィゴの副作用

5%以上の方に、悪心・嘔吐・下痢といった消化器症状や、疲労、骨痛などの症状があらわれる場合があります。投与を中止することによりほとんどの方が改善します。

ゾーフィゴに関する千代丸医長の講演・執筆活動

  • 平成31年4月25日
    北薩ゾーフィゴセミナー(川内市) 「CRPC骨転移に対するゾーフィゴの臨床的有用性」
  • 平成31年4月20日
    第107回日本泌尿器科学会総会(名古屋) 一般ポスター・前立腺腫瘍・放射線治療(3) 鹿児島医療センターにおける塩化ラジウム-223の治療経験とDWIBSによる治療評価
  • 平成30年12月16日
    第137回日本泌尿器科学鹿児島地方会 骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌に対する塩化ラジウム-223(ゾーフィゴ)の初期治療経験