独立行政法人 国立病院機構 鹿児島医療センター

診療の最前線

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最新記事 (20件)

リードレスペースメーカ植込みの選択肢が増えました

掲載:2024年1月18日 

ペースメーカは徐脈に対する画期的な治療法の一つですが、ペースメーカのトラブルの多くはリードに起因しています。また、これまでポケット部の感染等の問題もあり、リード抜去の必要時には危険を伴う場合がありました。従来のペースメーカに加え、2017年9月よりリードのないペースメーカが現在使用できます。リードレスペースメーカは、電極とジェネレータを一体にして、図のような経静脈的に心腔内に留置するデバイスです。

脳血栓回収療法250例達成

掲載:2023年10月18日 

 近年、詰まってしまった脳の太い血管に対してカテーテルによる血管内治療が普及してきました。鹿児島医療センターも例外ではなく、毎年約40-50症例の治療が必要な患者さまが救急搬送されてきます。血栓回収療法の有効性が確立したのが2014年であり、鹿児島医療センターも同じ年に実施開始となりました。10年たった今、鹿児島医療センターでは通算250例の治療を患者さまに行いました。これは、救急隊や連携病院の先生、院内の先生方、多職種の方々のご協力のおかげで成り立っているといっても過言ではありません。脳卒中が急ぐ病気であるということが広く知られるようになってきたからこそ、今後も多くの医療関係者の方々のご協力が欠かせない分野であります。

心原性ショックとは? 補助循環用ポンプカテーテル(Impella®)導入

掲載:2023年8月28日 

 当院は鹿児島県の循環器診療の中心的な役割を担っており、重症や多くの疾患を有する患者さまに標準治療のみならず高度で複雑な治療を中央に遅れることなく、鹿児島の患者さまに安心安全に提供する責務を担っております。

 特に急性心筋梗塞や不安定狭心症、致死性不整脈、重症心臓弁膜症、劇症型心筋炎、重症の急性心不全は迅速に集学的な治療が必要であります。当院では24時間、365日循環器医師が常駐しており、そのような病院は、鹿児島県には少なく、救急患者の受け入れのみならず、適切な治療を可能なかぎり迅速に施行し、救える命、救わねばならない命を落とさないよう体制づくりをおこなっています。

電気生理学的検査・カテーテルアブレーション 3000例達成

掲載:2023年7月1日 

 現在の高周波によるカテーテルアブレーション(経皮的カテーテル心筋焼灼術)は1987年から行われている、頻脈性不整脈に対するカテーテルで行う治療法です。頻拍性不整脈に対する非薬物療法は1969年にWPW症候群に対して外科治療が行われ、1994年から経皮的カテーテル心筋焼灼術として保険適応され、多くの施設で施行されるようになりました。主な適応疾患は、上室性頻拍、心房粗動、心室頻拍、心室期外収縮などですが、2000年頃からは心房細動も対象となるようになり、飛躍的に手術件数が増加しています。また、近年の三次元画像診断装置が発展し、より複雑な頻拍の治療も可能となり、心臓術後の心房頻拍など複雑な電気回路が想定される頻拍も積極的に治療しています。

2022年10月に経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)通算500例目を迎えました

掲載:2022年10月26日 

 当院は循環器診療の中核病院として、標準治療を中央に遅れることなく、鹿児島の患者さまに安心安全に提供する責務を担っております。大動脈弁狭窄症に対する治療、経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)は、20176月に当院が鹿児島県で最初の症例を経験することができ、多くの患者さま、医療機関の皆様に支えられ、誠実に診療を続け、2021年にはTAVI年間症例数127例、全国17位、九州2位の実績でした。治療開始から54カ月が経過し、202210月に通算500例目を迎えることができました。これまでには自己拡張型を使用したTAVI、心尖部アプローチのTAVI、鎖骨下動脈アプローチのTAVI治療も経験してきました。さらに2022年になって当院は九州で3施設目となるTAVI指導施設の認可をうけ、以前留置された外科的大動脈弁の弁機能不全患者さまに対して、追加してTAVI弁を留置する治療(TAV in SAV)、また今まで適応外で治療できなかった透析患者さまの大動脈弁狭窄症に対しての治療を行うことができ、多様化する患者さまの病態に応じた治療をおこなえるようになりました。

リードレスペースメーカ植込み 250例

掲載:2022年9月27日 

 2017年9月に本邦において、リードレスペースメーカ植込み(Micra)が保険償還され、当院においても2017年9月14日に第1例目を開始し、20227月で250例を達成しました。

脳卒中診療における話題をピックアップ

掲載:2022年9月26日 

脳卒中診療に関しましての特集です。先日、2014年から通算して血栓回収療法が200件を超えたことを報告いたしました。今回は最近の脳卒中診療における最新の話題をピックアップさせて頂きます。

TAVI指導施設認定 透析患者様へのTAVI可能に

掲載:2022年4月7日 

この度、当院はTAVI専門施設でありましたが、TAVI指導施設に認定されました。

大動脈弁狭窄症に対する治療方法はより体への負担が軽減される低侵襲へ向かっており、その安全性の向上とともに需要が増加傾向にあります。
2017年6月に鹿児島県で初の経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)開始され、以降、年々手術症例数も増加傾向にあり2020年以降は年間100症例を超えております。

2022年3月18日当院で僧帽弁閉鎖不全症に対する経カテーテル的僧帽弁修復術(MitraClip)を初施行しました

掲載:2022年3月29日 

2022年3月18日 当院で僧帽弁閉鎖不全症に対する経カテーテル的僧帽弁修復術(MitraClip)を初施行しました。

小倉記念病院から2名の先生を招いて、指導を受けながら、無事手技を終了することができました。

「僧帽弁閉鎖不全症」は僧帽弁という逆流防止の心臓弁の閉鎖が悪くなり、血液が左心室から左心房へと逆流してしまう病気で、効率的な心臓のポンプ機能が妨げられ、心臓の機能が低下や心不全の状態となってしまいます。

PICC(末梢挿入式中心静脈カテーテル)挿入が年間300例を超えました

掲載:2022年3月1日 

 PICCとはPeripherally Inserted Central Venous Catheterの略で、末梢挿入式中心静脈カテーテルのことをいいます。PICCは従来の中心静脈カテーテルに比べ、挿入時に気胸や血胸といった生命にかかわる合併症が少なく、2017年に医療事故の再発防止に向けた提言の中で、「中心静脈穿刺は致死的合併症が生じ得るリスクの高い医療行為であるため、中心静脈カテーテル挿入の適応についてはPICCによる代替を含め、会議で慎重に決定する」と報告されました。また、2015年に看護師の特定行為の1つにPICCの挿入が認められたこともあり、近年需要が高まりつつあります。

遠隔モニタリングチームの紹介

掲載:2022年2月10日 

当院、主に不整脈診療科ではペースメーカ・ICDなど心臓植込み型電気デバイスに対して遠隔モニタリングシステムを導入しております。

遠隔モニタリングシステムとは
 ご自宅の寝室に専用の機械を置いていただき、主に夜間にデバイスと機械が通信を行い、植込んだデバイスのリード・電池・不整脈などの情報を、携帯電話の回線(基本的に無線)を通じて病院へデータを送信するシステムです。当院へ通院されている方が対象で、定期的にデータチェックし必要時ご連絡しています。新型コロナウイルス感染予防の観点からも遠隔診療は推進されており、全国各施設において導入が進んでいます。

脳血栓回収療法200例達成

掲載:2022年2月8日 

 はじめて私自身が血栓回収療法に触れたのは2014年でした。この患者様は発症から間もない大きな血管の閉塞で来院し、血栓回収療法を行ったことで劇的に症状が改善しました。2022年現在も元気に外来に通われています。ひと昔前であれば、このような結果は想像できなかったことでしょう。その当時は、点滴で詰まった血栓を溶かす血栓溶解療法(rt-PA静注療法)が主流であり、脳梗塞起こしたての患者様にどれだけ早く迅速に投与ができるかが、患者様の症状を軽くする唯一の治療法でした。この血栓溶解療法は2005年から国内で行われるようになり、脳卒中診療の歴史を変える大きなパラダイムシフトとなりました。ただし、血栓溶解療法を受けた患者様が全例詰まった血栓が溶けて、劇的に症状が改善するというわけではなく、中には効果がないばかりか、逆に全身的な出血の病気が起きて、むしろ症状が悪くなってしまう患者様が少ないながらいることも事実でした。
 

2022年1月13日 経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)400例

掲載:2022年2月2日 

 大動脈弁狭窄症は、弁膜症の中では最も多く、進行すると命に係わる病気です。
 見過ごされがちですが、60~74歳で2.8%、75歳以上の方では13.1%の潜在患者さまがいると言われております。その中で治療を必要とする重症の大動脈弁狭窄症は70歳未満では1%未満ですが、80歳以上になりますと、7%程度の頻度と言われています。

 根本的治療は固く・狭くなった大動脈弁を置き換えるしかありません。大きな手術になるため、開胸手術を受けられない患者さまもいらっしゃいます。そのような方のために胸を開かずに大動脈弁を置き換える治療、より体への負担が軽い経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)が始められました。

リードレスペースメーカに房室同期ペーシング機能が新たに搭載されました

掲載:2021年12月2日 

 2017年9月に本邦において、リードレスペースメーカ植込み(Micra)が保険償還され、当院においても2017年9月14日に第1例目を開始し、20217月で200件を達成しました。
 リードレスペースメーカは、大腿静脈からアプローチし、わずか容積0.8cc/重さ1.75gのデバイスのみを右室内に挿入するペースメーカです。これまで心室ペーシング(VVI/VVIR)設定のみに限定されるペーシングモードでしたが、Micra AV202111月より使用できるようになり、安静時の房室同期が可能となりました。植込み手技における手順に違いはありません。

『TAVI専門施設』認定

掲載:2021年12月2日 

いつも患者さまをご紹介いただき、大変ありがとうございます。
当施設は地域中核病院として、心臓弁膜症を含めた循環器診療に尽力しており、このたび当施設がTAVI専門施設に認定されましたので、ご報告させて頂きます。
平素よりお力添えを賜り、誠にありがとうございます。

心房細動アブレーション ―レーザーバルーンの導入―

掲載:2021年11月17日 

現在、3種類のバルーンが認可されています。
これまで、当院でもホットバルーン、クライオバルーンを使用してきましたが、この度レーザーバルーンを導入いたしました。
それぞれの手技の特徴と利点を考慮したうえで、理想的な肺静脈隔離が患者に提供できるようにいたしますのでご相談ください。

当院での心不全カンファ、ACP(advance care planning,人生会議)の取り組みについて

掲載:2021年11月8日 

 今回は、当院の心不全に対しての取り組みの一つであるカンファについて紹介させていただきます。

 高齢化社会に伴い、心不全の患者さまは増加傾向にあり心不全パンデミック(心不全の大流行)という言葉もいわれています。日本でも約120万人の心不全患者さまがいると推定され、日本循環器学会、日本心不全学会からは2017年に、『心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です。』という心不全の定義を発表しています。そして、作成の経緯として、循環器疾患の死亡数が多いこと、心不全の予後も決して良いものではないにもかかわらずその事実や心不全の怖さ(完治しないことなど)があまり知られていない状況についても触れられています。 確かに悪性腫瘍などと比べ、『心不全』が命にかかわるという認識は広く一般には浸透していないと感じることは多いと思われます。

PICC外来開設のお知らせ

掲載:2021年9月3日 

食事がとれない方、抗がん剤など薬液が漏れることなく確実に点滴を行いたい方、点滴を刺す血管がない方、長期間点滴が必要な方に対して、今までは中心静脈カテーテル(細い点滴の管)というものを挿入しておりましたが、活動が制限されたり、長期挿入にて感染を起こしたりするなどの合併症により長期間使用するのは困難でありました。

当院では末梢より穿刺して中心静脈カテーテルと同じ役割を果たすPICCを挿入することで、今までの中心静脈カテーテルの問題点を解決し、長期間にわたる点滴管理を可能にしております。

今回、PICC外来を開始し、その対象を院外の患者様や他の病院、施設に入所中の方や在宅で治療中の方で長期に点滴加療が必要な患者様に提供できるような体制をとることといたしました。

経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)300例を迎えました

掲載:2021年5月27日 

 大動脈弁狭窄症に対する治療、経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)は2013年に日本で保険診療が開始されました。鹿児島県では施設整備等の遅れのため、なかなか実施できない状況が続きましたが、20176月に当院が鹿児島県で最初の症例を経験することができました。その患者様は今もご存命で、年1回の診察のたびに、その当時お互い不安の中で一緒に闘い抜いたことを思い出し、ともに涙を流しながら今健在であることを喜んでいます。しかし、その治療開始は都道府県別で43番目、施設別では118施設目と、出遅れたことにより、鹿児島でTAVI治療を施すことができず、今では救命できる患者様を救えなかった悔しい経験を思い出します。

2020年12月3日鹿児島県初の自己拡張型人工弁での経カテーテル大動脈弁置換術 (TAVI)施行!

掲載:2021年2月1日 

 2020年12月3日鹿児島県初の自己拡張型人工弁での経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)施行しました。
 70歳未満では1%未満、80歳以上になりますと、7%程度の頻度と言われる大動脈弁狭窄症ですが、無症状の方から、胸痛・息切れ・失神など様々な症状を認め、症状出現からの進行が早く、大変予後の悪い疾患となっています。その大動脈弁狭窄症に対する治療戦略は、2020年弁膜症ガイドラインの改定により変貌しつつあります。
 2020年、日本循環器病学会でのガイドラインが改訂され、より低リスクの患者さまへの治療適応の方向性が示されました。大まかな目安として、75歳未満でSAVR、80歳以上で、TAVIとなっています。当院では、それぞれの患者さまに合った治療方法を多職種によるハートチームカンファレンスで検討した上で、決定していきます。

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