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膀胱がんの最新の治療Ⅱ~アミノレブリン酸(5-ALA)による光力学診断(アラグリオ)

表在性の膀胱癌は初期治療としてTURBTが行われます。しかし、再発することが多く、再発を繰り返すうちに浸潤性の膀胱癌に進行することがあります。TURBTにおいて、残存腫瘍なく切除することが大切です。

アラグリオを用いた光線力学診断は癌細胞の部分だけが光って見えます。この方法の利点は、肉眼では判別しづらい癌組織の部分も的確に摘出することができるため、取り残しが少なく再発や転移のリスクが抑えられるところです。平成29年9月に承認され、当院でも平成30年5月から使用を開始しております。

アラグリオの作用機序

生物界に広く存在するアミノレブリン酸(5-ALA)は、正常細胞内においてプロトポルフィリンⅨ(PPⅨ)を経て、ヘムに変換されます。悪性腫瘍細胞では、正常細胞に比べてPPⅨが細胞内に多く蓄積されます。PPⅨは青色光線(400~410nm)を照射すると励起され、赤色蛍光(635nm付近)を発します。

この性質を利用し、手術に先立ってアラグリオを服用すると、腫瘍細胞が赤色蛍光を発し視認性が高まります。診断精度があがり、腫瘍の取り残しも減ります(図2)。

図2 術中画像。
腫瘍部は白色光で乳頭状に見え(図2A)、蛍光で発色していた(図2B)。病理結果はpTaの診断。腫瘍部周囲の白色光で異常無い部位(図2C)は、蛍光で発色していた(図2D)。生検の結果、pTisの診断。

アラグリオの適応

表在性膀胱癌に対するTURBTを行う患者さまが適応になります。炎症部位では偽陽性を生じることがあり、治療に向かない方もいらっしゃいます。詳しくは泌尿器科の治療担当医にお尋ねください。

アラグリオに関する学会発表

平成30年7月7日 第136回日本泌尿器科学鹿児島地方会 光力学診断(PDD)併用経尿道的膀胱腫瘍切除の初期経験 上村康介、水間浩平、千代丸剛

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