【アラグリオの作用機序】
生物界に広く存在するアミノレブリン酸(5-ALA)は、正常細胞内においてプロトポルフィリンⅨ(PPⅨ)を経て、ヘムに変換されます。悪性腫瘍細胞では、正常細胞に比べてPPⅨが細胞内に多く蓄積されます。PPⅨは青色光線(400~410nm)を照射すると励起され、赤色蛍光(635nm付近)を発します。この性質を利用し、手術に先立ってアラグリオを服用すると、腫瘍細胞が赤色蛍光を発し視認性が高まります。診断精度があがり、腫瘍の取り残しも減ります(図2)。
図2 術中画像。
腫瘍部は白色光で乳頭状に見え(図2A)、蛍光で発色していた(図2B)。病理結果はpTaの診断。腫瘍部周囲の白色光で異常無い部位(図2C)は、蛍光で発色していた(図2D)。生検の結果、pTisの診断。
【アラグリオの適応】
表在性膀胱癌に対するTURBTを行う患者さまが適応になります。炎症部位では偽陽性を生じることがあり、治療に向かない方もいらっしゃいます。詳しくは泌尿器科の治療担当医にお尋ねください。
【アラグリオに関する学会発表】
平成30年7月7日 第136回日本泌尿器科学鹿児島地方会 光力学診断(PDD)併用経尿道的膀胱腫瘍切除の初期経験 上村康介、水間浩平、千代丸剛