独立行政法人 国立病院機構 鹿児島医療センター

心房細動アブレーション ―レーザーバルーンの導入―

現在、3種類のバルーンが認可されています。
これまで、当院でもホットバルーン、クライオバルーンを使用してきましたが、この度レーザーバルーンを導入いたしました。
それぞれの手技の特徴と利点を考慮したうえで、理想的な肺静脈隔離が患者に提供できるようにいたしますのでご相談ください。

 心房細動は最も多い不整脈の一つで、脳梗塞などの血栓塞栓症や心不全を誘発する原因となる病気です。内服薬による治療が主でしたが、通常の脈を維持するのにより効果的な手段として手術(カテーテルアブレーション)が2000年ころから行われるようになりました。心房細動は、上室期外収縮(心臓のしゃっくりのようなもの)が契機となり始まりますが、その期外収縮を抑さえることで、心房細動の出現を抑えようとするものです。その多くが肺から酸素を多く含んだ血液を心臓に戻す血管、肺静脈の中が起源であることが判明しました。手術中に心房細動の契機となる上室期外収縮を見つけ出すことは難しいため、肺静脈の入り口を熱で焼灼し、電気的に隔離したところ、効率よく洞調律を保つことができるようになりました。

カテーテルアブレーションで肺静脈を隔離する手段は、カテーテルという電極の先端に高周波を流し、熱を発生させる方法です。1回の焼灼は約20-30秒で、約3-4mmの範囲です。肺静脈の周囲を焼灼するには、2050回の焼灼が必要で、技術的にも難しい手技になります。そのため、もっと短時間で、簡単に治療が進まないかと開発されたのが、バルーンによる肺静脈隔離です。
肺静脈の入り口でバルーンを膨らませ、入口部で1本の血管を塞ぎ、一気に電気的に隔離をしてしまう方法です。現在、3種類のバルーンが認可されています。これまで、当院でもホットバルーン、クライオバルーンを使用してきましたが、この度レーザーバルーンを導入いたしました。


①ホットバルーンは、バルーン内の液体を熱することで隔離する方法

②クライオバルーンは冷凍のガスを入れて冷却することで隔離する方法

③今回導入するレーザーバルーンは、レーザーを当てて、熱を発生させ電気的に隔離する方法

それぞれ特徴はありますが、レーザーバルーンはバルーン内に挿入した内視鏡で直接焼灼部位を見ながら治療をすることができます。また、基本的には造影剤の使用の必要はなく、焼灼部位の内膜損傷が少なく、焼灼した部位の再伝導が少ないという特徴があります。


患者さんの病歴、治療する肺静脈の形態、併せ持つ不整脈を考慮し、最適な治療法ができる選択肢がもう一つ増えることとなりました。

(文責 不整脈治療科部長 塗木 徳人)

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