独立行政法人 国立病院機構 鹿児島医療センター

PICC(末梢挿入式中心静脈カテーテル)挿入が年間300例を超えました

 PICCとはPeripherally Inserted Central Venous Catheterの略で、末梢挿入式中心静脈カテーテルのことをいいます。PICCは従来の中心静脈カテーテルに比べ、挿入時に気胸や血胸といった生命にかかわる合併症が少なく、2017年に医療事故の再発防止に向けた提言の中で、「中心静脈穿刺は致死的合併症が生じ得るリスクの高い医療行為であるため、中心静脈カテーテル挿入の適応についてはPICCによる代替を含め、会議で慎重に決定する」と報告されました。また、2015年に看護師の特定行為の1つにPICCの挿入が認められたこともあり、近年需要が高まりつつあります。

 当院では第2循環器科部長 東健作先生のご指導のもと2019年にPICCチームを立ち上げ、診療看護師を中心にPICC挿入を行っています。挿入の件数は年々増加傾向にあり、2019年度は53/年、2020年は267/年でしたが、20214月から202112月の8か月間で301件となりました。

 当院におけるPICC留置は末梢ルート挿入困難、高カロリー輸液投与、抗がん剤投与が多く、その他には特殊薬(カテコラミンやハンプ等)投与、長期点滴投与を行う患者さまが対象となっています。(グラフ1

 血管内留置デバイスの選択は、投与薬剤の侵襲度や留置期間、患者さまの状況に応じて個別に選択します。2011年のCDCガイドラインでは「静脈療法期間が6日を超えると見込まれるときはPICCを使用すること」と記載されています。また、「輸液カテーテル管理の実践基準」のデバイス選択のアルゴリズムを以下に示します。薬剤の侵襲性にかかわらず輸液の期間が1週間以上3ヶ月未満の場合にPICCが推奨されています。

 PICCを挿入した患者さまからは「いつも針を刺すのに苦労していたから、これ(PICC)になって楽になりました。」や「もっと早くこれ(PICC)にしておけばよかった。次もよろしくね。」など言葉をかけていただき、私たちの励みとなっております。

 また、昨年9月にはPICC外来を立ち上げました。院内の患者さまだけではなく、地域の患者さまの治療の手助けができるように今後もPICCチームとして全力でお手伝いしていきたいと思います。

 在宅で長期間の点滴が必要な方や入院中でもライン確保で苦労されている長期点滴管理が必要な方がいらっしゃいましたらご紹介ください。今後ともよろしくお願いいたします。

 (文責:診療看護師 新坂 享子)

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