独立行政法人 国立病院機構 鹿児島医療センター

2022年10月に経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)通算500例目を迎えました

 当院は循環器診療の中核病院として、標準治療を中央に遅れることなく、鹿児島の患者さまに安心安全に提供する責務を担っております。大動脈弁狭窄症に対する治療、経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)は、20176月に当院が鹿児島県で最初の症例を経験することができ、多くの患者さま、医療機関の皆様に支えられ、誠実に診療を続け、2021年にはTAVI年間症例数127例、全国17位、九州2位の実績でした。治療開始から54カ月が経過し、202210月に通算500例目を迎えることができました。これまでには自己拡張型を使用したTAVI、心尖部アプローチのTAVI、鎖骨下動脈アプローチのTAVI治療も経験してきました。さらに2022年になって当院は九州で3施設目となるTAVI指導施設の認可をうけ、以前留置された外科的大動脈弁の弁機能不全患者さまに対して、追加してTAVI弁を留置する治療(TAV in SAV)、また今まで適応外で治療できなかった透析患者さまの大動脈弁狭窄症に対しての治療を行うことができ、多様化する患者さまの病態に応じた治療をおこなえるようになりました。

 しかし統計学的には大動脈弁狭窄症の治療を必要としている患者さまが、いまだ鹿児島県に6300人、鹿児島市に1800人存在していると推定されています。当院ではこの数年、年間100例を超えるペースでTAVIをおこなっていますが、まだ治療が必要な患者さまに適切なタイミングでTAVIを施せていないと思われます。患者さまの多くは高齢で、複数の合併症を有しており、その治療は慎重に行わなくてはなりません。そのためには循環器内科医師、心臓外科医師、麻酔科医師、看護師、放射線技師、臨床検査技師、臨床工学士、理学療法士、医療クラークのメンバーから構成されるハートチームの存在は不可欠で、チーム一丸となって一歩一歩治療を実践しています。30名を超えるチーム構成となりますが、それぞれがより一層の改善をめざし、日々精進しています。

 従来は心臓外科手術が適応となっていた比較的若い患者さまにもTAVI適応が拡がる傾向があり、長期的に良好な予後を見据え、今後より慎重な治療選択を迫られます。また以前は大動脈弁狭窄症と癌などの合併症を患った高齢の患者さまへの積極的な治療を控える傾向がありました。しかし、このTAVIが導入されたことにより、積極的な治療方針へ変更されるケースもあるようです。私達もどの選択が正解なのか、絶えず模索しながら、日々診療を行っていかなければならないと改めて痛感しております。

 大動脈弁狭窄症という疾患を通してではありますが、疾患のみではなく、患者さまの健康を、さらにそれぞれの人生がよくなることにお役に立てるよう、チーム一丸となって今後も精進してゆきます。改めて一緒に闘っていただいた患者さま・そのご家族の皆様、支えていただいた医療機関の皆様に感謝申し上げます。

(文責:第一循環器内科部長 片岡 哲郎)

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