独立行政法人 国立病院機構 鹿児島医療センター

「鹿医セン便り Vol.185」

2021年9月1日(水)

PICC外来

 

 食事がとれない方、抗がん剤など薬液が漏れることなく確実に点滴を行いたい方、点滴を刺す血管がない方、長期間点滴が必要な方に対して、今までは中心静脈カテーテル(細い点滴の管)というものを挿入しておりましたが、活動が制限されたり、長期挿入にて感染を起こしたりするなどの合併症により長期間使用するのは困難でありました。

 当院では末梢より穿刺して中心静脈カテーテルと同じ役割を果たすPICCを挿入することで、今までの中心静脈カテーテルの問題点を解決し、長期間にわたる点滴管理を可能にしております。

 今回、PICC外来を開始し、その対象を院外の患者様や他の病院、施設に入所中の方や在宅で治療中の方で長期に点滴加療が必要な患者様に提供できるような体制をとることといたしました。

 

PICCとは

 PICCとは、peripherally inserted central catheter(末梢挿入型中心静脈カテーテル)の略であり、主に上腕にある少し大きな静脈より心臓に近い太い静脈にカテーテルを挿入することで、従来の中心静脈カテーテルと同様の点滴加療が可能です。

 上腕に点滴を留置しますので、腕も自由に曲げられますし、感染リスクも少なく長期間の留置、使用が可能です。カテーテルが閉塞しない限りは入れ替える必要がありませんので、何回も針を刺されることもありません。カテーテルを挿入する場所も腕ですので、大きな合併症もなく非常に安全にカテーテル挿入が可能です。

 

PICC挿入の対象者

良い適応となる方

 ①数日の連続した点滴が必要な方

 ②点滴の針を刺す血管がない方

 ③抗がん剤などの長期間点滴での加療が必要な方

 ④食事がとれず点滴での栄養管理が必要な方、胃ろうを希望されない方

適応とならない方

 ①腕が伸ばせない方(PICC挿入ができない方)

 ②認知機能障害がある方(挿入時安静が困難な方、挿入しても自分で抜去される方)

 ③全身状態が著しく悪い方

 ④静脈が閉塞している方

 ペースメーカーなど人工物が血管内に入っている方は反対側への挿入は可能です。

シャントがある患者様も反対側への挿入となります。

 

留置方法

 カテーテル室で施行します。仰臥位になっていただき、挿入する腕は伸ばしていただきます。超音波を使用して血管を確認し、カテーテルを挿入する血管を決定します。針を刺す部位を消毒し清潔なシーツで覆い、細菌が入らないようにします。カテーテルを挿入し先端の位置をX線で確認して問題なければ挿入部を固定して終了です。

 留置時間は通常、検査室入室時より約30分程度で終了しますが、血管穿刺やカテーテル挿入が困難な場合には少し時間がかかることがあります。

 

挿入後の管理

適切に管理することで長期間使用可能です。

カテーテル不使用時は、1日1回のヘパリンロックをお願いします。

テープの張替えと消毒に関しては、基本的には週1回でOKです。

入浴時は、穿刺部が汚染されないようにラップやビニール袋で処置をして入浴が可能です。

挿入終了後に当院診療看護師より管理方法や今後について説明があります。

 

注意点

感染 中心静脈カテーテルよりははるかに少ないですが、少なからず発生します。十分な管理が必要です。挿入部をむやみに触らないようにしてください。

カテーテル閉塞 カテーテル自体が細くなっていますので、血液の逆流や薬剤により閉塞する可能性があります。十分な管理で予防することは可能です。

カテーテルの抜去 テープで固定しますので、引っ張られることでカテーテルは抜去してしまいます。衣類の着脱やテープ交換時などは特に注意が必要です。

血栓、静脈炎 人工物を血管内に挿入しますので、まれに血の塊(血栓)ができることで静脈炎を起こすことがあります。

その他、動脈穿刺や複数回のカテーテル挿入で血管閉塞が起こることがあります。

 

PICC外来の流れ

 

PICC外来について

 主治医の許可が取れていることが必要です。事前に紹介状を当院の方までFaxもしくは郵送でお願いいたします。内容を確認後、外来当日のPICC挿入を調整いたします。 

 ご不明な点がございましたら、当院診療看護師までご連絡ください。

 

(文責:循環器内科部長 東 健作)

 

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