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鹿児島医療センターで初期研修を行うメリット

独立行政法人国立病院機構 鹿児島医療センター
臨床研修管理委員長 菰方 輝夫

 

鹿児島医療センターは鹿児島県の「循環器病、脳血管障害、がん」の高度医療を支える病院として発展しています。高度医療の質を維持しつつ、初期研修が十分機能するよう、さまざまな取り組みを行っています。

当院での初期研修の特徴

  1. 一次/高度医療を同時研修
  2. 研修医担当の専任秘書の存在
  3. 評価されるカルテ記載能力の獲得
  4. 研修医会議で充実した研修環境整備
  5. 自分にあった自由な研修プログラム作成
 

1. 一次医療と高度医療を同時に実感しながら研修できます

 当院の年間救急患者数は3,704名、うち救急車搬送数は1,550名と、救急医療を特徴とする研修病院ほど多くはありません。しかし、当院での初期研修においてはこれがメリットに変わります。一人一人の患者さまを救急受け入れから最終的な高度医療による社会復帰まで見守ることができます。最終的治療を考慮に入れることで、皆さんは一次医療に携わる時何が大事かわかってくるはずです。
 高度医療の質を保てる理由は、職員が専門家集団を中心にまとまっているからと考えます。常勤医66名中53名が基本領域とSubspecialty領域の専門医資格を持っています。平成25年7月には救命救急専門医も赴任します。看護師318名中13名もの認定看護師が全病棟に気配りしています。事務部も最大限努力しています。研修病院も広げています。私たちの病院で一次医療から高度医療まで実感しながら研修を積んで下さい。ぜひ一日体験研修に参加して下さい。

 

2. 専任の秘書が研修を手助けします

 研修医の皆さんだけの専任秘書が、研修がうまくいくよう手助けします。全国的に珍しい取組です。医師になると種々の書類作成から連絡・手配等新たな仕事が発生してきます。研修以外の仕事に惑わされ研修が中断されないよう手伝います。研修に専念して下さい。

 

3. 研修医時代に評価に値するカルテ記載能力が身につけられます

 初期研修期間中に32項目の「頻度の高い症状」についてレポートを作成する必要があります。平成24年度からこのレポートを退院サマリー形式で提出してもらうことにしました。レポートを研修担当指導医5名(各科指導医とは別に存在します)が添削し、フィードバックします。昨年1年間で研修医の皆さんのレポートやカルテを記載する能力は飛躍的に上達し、目を瞠るものがありました。高い評価獲得者に対する表彰制度も始めました。

 

4. 研修医会議で充実した研修環境の整備を続けます

 毎月第2、第4金曜日に40分程度の研修医会議を行います。研修医が主催し、全員出席します。秘書、研修医担当指導医、事務部も出席します。研修に不足するものがあったら要望して下さい。平成24年度は研修医専用の心エコー装置を研修医室に配備しました。会議の後半20分程度を使い、持ち回りで経験した症例の報告も行います。お互いの研修到達度も知ることができます。研修医用の宿舎も準備しています。研修環境は毎年整備し続けます。

 

5. 自分自身で最大限自由に研修プログラムを作成して下さい

 城山コースからは様々な魅力ある研修病院での研修も可能です。鹿児島大学病院は全診療科で研修が可能です。必修科目は履修する必要がありますが、自分に合った研修プログラムを自由に決めることができます。マッチング結果発表直後(11月ごろ)に研修医2年目の先輩の意見も参考にし、研修1年目同士で話し合いながら自分が望む研修プログラムを作って下さい。

以上です。他に知りたいことがありましたら、研修担当秘書の前田までご連絡下さい。お待ちしています。

 

1. 各診療科の指導医の得意分野

(1) 循環器内科
 心エコー年間約4,000例、心臓カテーテル年間約2,300例、カテーテルアブレーション年間約100例と鹿児島県のトップレベル
(2) 脳血管内科
 脳卒中入院例は年間約500例で鹿児島県のトップレベル
(3) 血液内科
 延入院患者年間400例以上、外来化学療法年間600例以上と経験が豊富、骨髄移植も実施中
(4) 腫瘍内科
 全ての癌の内科的治療を実施。診療開始後1年で、がん薬物療法専門医試験に必要な症例数 (肺癌・乳癌・消化器癌・血液腫瘍全てを含む30例以上)を実施
(5) 糖尿病・内分泌内科
 日本糖尿病学会教育認定施設、並びに日本内分泌学会教育認定施設で、糖尿病の診療及びバセドウ病や橋本病を中心とする甲状腺疾患、下垂体疾患、副腎疾患などの内分泌疾患全般についての診療実施中
(6) 消化器内科
 消化管疾患、肝胆膵領域の検査および治療を中心として消化器疾患全般の診療に対応、特に炎症性腸疾患、ダブルバルーン内視鏡検査を精力的に展開中
(7) 婦人科
 子宮癌や卵巣癌といった悪性腫瘍の診断・治療をはじめとして、子宮筋腫や卵巣嚢腫といった良性疾患の治療を展開中
(8) 泌尿器科
 泌尿器科専門医教育施設 基幹教育施設に指定され、泌尿器全般にわたる診断治療および血液透析を実施中
(9) 放射線科
 放射線診断部門と放射線治療部門を精力的に展開中
(10) 麻酔科
 手術麻酔と集中治療室の管理及び院内の救急対応を中心に展開中
(11) リハビリテーション科
 学会認定専門医・指導医が心臓・脳卒中・がんの分野のリハビリテーションを精力的に展開中
(12) 小児科
 重症先天性心疾患、遺伝性不整脈、心筋症、小児肥満について全県下から患児が受診中。遺伝性不整脈については、県下のほぼ全例が受診中。
(13) 外科・消化器外科
 科学的根拠に基づいた医療と先端医療の癒合をはかり、完全腹腔鏡下胃・大腸手術をはじめ肝胆膵領域も鏡視下手術並びに高難度拡大手術を実施中。
(14) 心臓血管外科
 心臓および大血管手術症例数 (成人開心術数) は1年間で475例と鹿児島県内トップの症例数
(15) 脳神経外科
 内頸動脈内膜剥離(CEA)は年間20‐30件で、鹿児島県内トップの症例数
(16) 耳鼻咽喉科
 手術件数年間約600例、頭頸部がん症例年間約130例、再建手術を含め機能温存・回復の集学的治療を実施中
(17) 皮膚腫瘍科・皮膚科
 皮膚がんや、良性の皮膚腫瘍の診断・治療を専門として展開中
(18) 病理診断科
 病理診断件数2389件、細胞診断件数2838件と当院の三本柱の一つであるがん診療を支援

 

2. 各診療科において習得できるレベル

(1) 循環器内科
 心電図、心エコー、心カテ穿刺、右心カテの経験、経皮的冠動脈インターベンションの介助、不整脈の診断・治療
(2) 脳神経内科
 脳波、腰椎穿刺、髄液検査、血管エコー、脳血管撮影、脳血流検査
(3) 血液内科
 骨髄穿刺、血液疾患診断、抗生剤・抗真菌剤の使用法、抗癌剤の投与法
(4) 腫瘍内科
 がん薬物療法および副作用対策、外来化学療法、緩和医療、輸血の管理、(発熱性) 好中球減少症への対応、血友病患者の管理、骨髄穿刺・骨髄生検・胸腔穿刺、腹腔穿刺等
(5) 糖尿病内科
 持続皮下注入インスリンポンプ療法、持続血糖モニタリング、精密眼底撮影、糖尿病/内分泌疾患のコントロール
(6) 消化器内科
 腹部エコー、腹水穿刺、胃管挿入、上部内視鏡、抗癌剤使用法の習得、消化管X線検査の介助
(7) 小児科
 新生児/小児の診察法・治療、小児の心エコー法は完全に習得可能
(8) リハビリテーション科
 関節可動域評価/訓練、徒手的筋力評価/訓練、起居・基本動作評価/訓練、起立・歩行訓練(装具療法)、運動療法・心肺運動負荷試験、嚥下造影検査
(9) 外科・消化器外科
 early exposure を原則に手術に戦力として参加、外科・消化器外科全領域における周術期管理。鼠径ヘルニア根治術、腹腔鏡下胆嚢摘出は術者。
(10)心臓血管外科
 手術への積極的参加、各種ドレーン管理、術野の清潔管理、皮膚切開、縫合、結紮手技、創傷管理の習得、開心術・胸部/腹部手術の立会い
(11) 脳神経外科
 脳波、腰椎穿刺、脳血管撮影、脳血流検査、開頭手術、血管内手術の立会
(12) 耳鼻咽喉科
 基本的外科的・形成外科的手術手技、呼吸困難や嚥下障害の診断・治療(鼻咽腔・喉頭ファイバー、気管切開)、頸部腫瘤・甲状腺疾患の診断、頭頸部がんの手術の助手
(13) 婦人科
 正常分娩の管理/介助、産科手術の介助、婦人科特有の診察法習得、婦人科手術の介助
(14) 泌尿器科
 導尿、腹部超音波検査、膀胱瘻、尿管ステント留置、前立腺生検、血液透析 (HD, CHDF)、泌尿器科的手術への立会い
(15) 放射線科
 各種検査法 (CT, MRI, RI) の適応と評価(画像診断)、放射線治療の適応、有害事象、治療計画作成
(16) 麻酔科
 気管内挿管、全身麻酔及び脊髄クモ膜下麻酔時の麻酔管理
(17) 皮膚腫瘍科・皮膚科
 皮膚腫瘍の診断・治療法(外科療法・がん薬物療法など)、一般皮膚疾患(薬疹や湿疹・皮膚炎、褥瘡、皮膚感染症など)、皮膚病変のプライマリケア(診かた、考え方)、基本的外科手技、植皮、リンパ節郭清など(皮膚良性腫瘍の執刀医として参加)
(18) 病理診断科
 手術検体の扱い方、肉眼所見の取り方、臓器・郭清リンパ節の切り出し、マクロとミクロの写真撮影、病理診断の基礎