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診療科の紹介

心臓血管外科

当院における心臓血管外科の歴史は前身の国立鹿児島病院に始まり、昭和56年、当院開院時から開設され、以来、鹿児島大学第二外科と密に連携をとりながら鹿児島県の心臓及び血管に関する外科治療を担ってきました。
 

当科の特徴として一般外科とも一体となっており、心臓血管外科・一般外科の構成員全員で相互に関連する領域に広く対応しています。そのため、日本外科学会専門医、日本心臓血管外科学会専門医修練の基幹施設として認定されています。
 

当科では、冒頭に示しますように冠動脈疾患に対する心拍動下、心停止下冠動脈バイパス術や、心臓弁膜症に対する弁形成術、人工弁置換術、心房細動に対するMaze手術、胸部・腹部大動脈瘤に対する人工血管置換術などを中心に、それぞれの疾患に対する最新の治療法に積極的に取り組んでいます(2014年度心臓血管手術総数430例)。
 

 最近の特徴として、2000年以降に高齢者の大動脈弁狭窄症が急増しています。術前の評価が重要ですが、80歳を超えた高齢者に対しても積極的に対応しています(実績グラフ参照)。また、大動脈弁輪拡張症に対しては従来人工弁を用いた基部再建術(2000年度以降総計118例)を行っていましたが、2013年度より若年者を対象に術後の抗凝固療法を回避しうる自己大動脈弁温存大動脈基部置換術を導入しています。僧帽弁閉鎖不全症に対しては弁形成術を中心に年間40例程度施行し、形成術の完遂率98%を維持しています。

 

胸骨正中切開に替わる右肋間小開胸(7~8cm切開・左写真)による僧帽弁形成術も導入し、若年者を中心に選択しています。更には胸部大動脈瘤や大動脈解離に対するオープンステントグラフト留置手術など手術成績の向上に加えて遠隔期の合併症の予防にまで配慮した最新医療を手がけています。特に、リスクの高い高齢者胸部大動脈瘤に対しては開胸や開腹によらない血管内治療など低侵襲性に配慮した治療を最優先としています。鹿児島県内で心臓血管外科手術ができる施設は限られており、当科はその一翼を担い、さらに他施設ではあまり行われていない最新医療を行っています。また、循環器内科と一緒に循環器疾患に対する三次救急の役割も果たしています。


 四肢末梢の動脈疾患に対しては、急性閉塞に対する血栓除去術や間歇性跛行(歩く途中で下肢が痛くなり休むと軽快し再び歩ける)を呈する閉塞性動脈硬化症に対する外科手術や血管内治療および下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術(レーザー治療)などを行っています。
 

 今後は循環器内科、麻酔科をはじめ院内各診療科とチームを組んで最新治療の一つであるハイリスク患者、高齢者の大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル的大動脈弁置換術の導入に向けてのハイブリッド手術室の新設、手技の実施に向けて準備を進めています。当院は国立病院機構の一機関として、常に良質の医療を提供し患者さまの信頼に応える施設を目指しています。