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小児科では当センターの倫理委員会の承認を得て、下記の臨床的な研究を行っています。

 

QT延長症候群患児の診断および管理基準作成に関する研究
部長の吉永は日本小児循環器学会の研究委員会の一つである『QT延長症候群患児の管理基準に関する研究』委員会の代表委員として、QT延長症候群に関する臨床的研究を続けています。
よりよい診断基準および管理基準をつくるため努力しています。最近、小児期のQT延長の診断基準を発表しました。興味のある方は下記論文をご参照下さい。管理基準についても検討を続けています。

 

Hazeki D, Yoshinaga M, Takahashi H, et al.
Cutoffs for screening prolonged QT intervals from Fridericia’s formula in children and adolescents.
Circ J, 2010;74:1663-1669.

 

小児の肥満とメタボリックシンドロームに関する研究

生活習慣病{内臓肥満、高血圧、糖尿病、中性脂肪高値、HDL コレステロール(善玉コレステロール)低値}のいくつかをあわせ持つ状態をメタボリック症候群と呼ぶようになりました。平成18年度~20年度に厚生労働省の科学研究費をいただき、乳児期・思春期の生活習慣病の研究を行いました。

成果の一部は本ホームページ中の『思春期(高校生)の生活習慣病予防に関する提言』に記載致しました。
分析を進めていくと、一つの生活習慣病を持つと加速度的に他の生活習慣病を併せ持つこともわかりました。その中でも内臓肥満(腹囲の増加)を最初に持つことが最も危険な状態であることもわかりました。

興味のある方は研究業績(英文論文抄録和訳集の10、13、邦文論文要旨集の1、2) をご参照下さい。

平成24年度から再び厚生労働省の科学研究費をいただき、『未成年者、特に幼児、小・中学生の糖尿病等の生活習慣病予防のための総合検診のあり方に関する研究』を進めています。

一部のデータを指導者用のスライドとして『小児のメタボリックシンドローム-私たちは事実を伝えているか-』を掲載致します。 『現状編』と『対策編』の2回に分けて掲載いたします。
初回は『現状編』注)です。ご利用いただければ幸いです。

小児のメタボリックシンドローム-私たちは事実を伝えているか-(現状編) 注;各スライドの内容は
「小児のメタボリックシンドローム(説明文)」に記載してあります。

 

肥満度の計算方法
肥満度は下記の順に計算します。
標準体重の算出
年齢別、男女別の式の中の[身長]のところに、現在の身長を入れて計算して下さい。答えが標準体重になります

 

年齢 男子 女子
5歳 0.386 ×[身長]-23.699 0.377 ×[身長]-22.750
6歳 0.461 ×[身長]-32.382 0.458 ×[身長]-32.079
7歳 0.513 ×[身長]-38.878 0.508 ×[身長]-38.367
8歳 0.592 ×[身長]-48.804 0.561 ×[身長]-45.006
9歳 0.687 ×[身長]-61.390 0.652 ×[身長]-56.992
10歳 0.752 ×[身長]-70.461 0.730 ×[身長]-68.091
11歳 0.782 ×[身長]-75.106 0.803 ×[身長]-78.846
12歳 0.783 ×[身長]-75.642 0.796 ×[身長]-76.934
13歳 0.815 ×[身長]-81.348 0.655 ×[身長]-54.234
14歳 0.832 ×[身長]-83.695 0.594 ×[身長]-43.264
15歳 0.766 ×[身長]-70.989 0.560 ×[身長]-37.002
16歳 0.656 ×[身長]-51.822 0.578 ×[身長]-39.057
17歳 0.672 ×[身長]-53.642 0.598 ×[身長]-42.339

肥満度の計算方法(現在の体重が標準体重の何%増しかを計算するもの)
【肥満度 (%)】= {([現在の体重]÷[標準体重])-1} × 100

 

乳児期の突然死予防に関する研究
乳児突然死症候群については御存じの方も多いことと存じます。それまで元気であった1歳未満の赤ちゃんが、解剖によっても原因がわからない理由で睡眠中に突然死するものをいいます。

 

生後2~4か月に多いことが知られています。頻度は減少しつつありますが、まだ約7, 000人に一人が亡くなっています。

最近の研究により、乳児突然死症候群として死亡した乳児の遺伝子検査により、QT延長症候群の遺伝子変異を持っていた乳児がいたこと、遺伝子判明率を勘案すると、乳児突然死症候群として死亡している中の17%程度はQT延長症候群によるものと推測できることが分かってきました。

『乳児期QT延長症候群の診断基準と治療アルゴリズム作成による突然死予防に関する研究』で厚生労働省の科学研究費をいただき、乳児期のQT延長症候群のスクリニング方法と治療方法について研究を進めています。

英文論文抄録和訳集の4、14、総説の7「乳児突然死症候群とQT延長症候群」もご参照下さい。

 

病気の説明(肥大型心筋症とQT延長症候群)

肥大型心筋症とQT延長症候群は突然死を起こす可能性のある病気のため、説明用のパンフレットを作っています。
“この説明文書も読んでみて下さい”と外来での説明の後にお渡ししています。小児循環器担当の先生あるいは御家族の方ともに、参考になれば幸いです。

肥大型心筋症
QT延長症候群
QT時間に影響を及ぼす薬剤について

 

肥満度について

肥満の程度の判断にはいくつもの方法がありますが、日本で小児によく用いられているのは『肥満度』です。

肥満度(%)={(現在の体重÷標準体重)-1}×100 で計算します。標準体重は表の標準体重計算式から計算します。
性別、年齢別に計算式は異なっています。身長をいれたら、標準体重が計算できます。 標準体重という言葉を使っていますが、日本人小児の平均値と考えて下さい。

日本では文部科学省が毎年「学校保健統計調査報告書」が出していますので、日本人小児の平均値を算出することができます。計算式は10年毎に改訂され、現在は1990年と2000年の報告書から作られた計算式が使われています。どちらを用いても結構です。目的により変更して下さい。私は過去のデ-タとの比較を行うことが多いので、いまでも1990年のデ-タからの計算式を用いています。

標準体重計算式1990年版
標準体重計算式2000年版

 

研究実績(過去3年間)

添付のファイルをご覧ください。英文論文については抄録和訳集、邦文論文についてはその要旨集も添付しております。

研究実績(過去3年間)
抄録和訳集
和文論文 要旨集