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診療科の紹介

循環器内科

 心臓疾患の治療はスピードがとても重要であり、専門的知識が必要になります。当院は、日本循環器学会、日本心血管インターベンション治療学会、および日本不整脈心電学会の研修施設であり、循環器専門医が17名、心血管インターベンション治療認定医・専門医7名、不整脈専門医が2名在籍しており、最先端の技術で治療しております。

 また、『心臓病・脳卒中救急センター』が開設され、救急患者の受入れ体制が確立しました。救急科、循環器内科、および心臓血管外科と協力して、急性心筋梗塞、急性心不全、ショック、不整脈、心肺停止、急性大動脈解離などの急性期の心疾患を24時間体制で積極的に受け入れております。


 
 循環器内科は虚血性心疾患(急性心筋梗塞、不安定狭心症、陳旧性心筋梗塞、狭心症など)、心臓弁膜症(大動脈弁膜症、僧帽弁膜症、三尖弁膜症など)、心筋疾患(特発性心筋症、拡張型心筋症、肥大型心筋症、急性心筋炎など)、心不全(急性、慢性)、不整脈(心房細動、心房粗動、発作性上室性頻拍症、WPW症候群、期外収縮、心室頻拍、心室細動、ブルガダ症候群、徐脈、洞不全症候群、房室ブロックなど)、大動脈疾患(急性大動脈解離、胸部・腹部大動脈瘤など)、末梢血管疾患(慢性閉塞性動脈硬化(ASO/PAD)、静脈血栓症など)を中心にしています。また、高血圧、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症、肥満などの生活習慣病など幅広い領域に亘って診療を展開し、かかりつけ医や近隣病院と診療連携をはかっています。

 診断手段としては心臓超音波検査、心筋シンチ検査、冠動脈や大動脈CT検査、心臓MRI検査、冠動脈造影検査などです。主な治療としては、冠動脈インターベンション(PCI)、末梢動脈形成術、心臓デバイス治療(ペースメーカ、ICD、CRT等植込み)やカテーテルアブレーションを中心に診療しています。

 平成30年度の主な検査・治療件数は、心臓超音波検査は15,682件、経食道心エコー 479件、心筋シンチ 1,891件、冠動脈CT検査 1,510件、心臓MRI検査 96件、冠動脈造影検査 773件、冠動脈インターベンション 475件、末梢動脈形成術 75件、心臓デバイス治療 256件、植込み型ループ式心電計(ILR) 21件、カテーテルアブレーション 340件、大動脈ステントグラフト(胸部・腹部) 26件の実績です。

 他職種、心臓血管外科と協力して、ハートチームを立ち上げており、ハイリスク患者や超高齢者に対する治療として、①胸部および腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術、②大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)も行っています。

 その他、不整脈部門では、①クライオやホットバルーンによる肺静脈隔離術、②血管内にリードを入れず、前胸部の皮下に植込む除細動器(皮下植込み型除細動器:S-ICD)の植込み、③ポケットを作成する必要がなく、リードも必要ないリードレスペースメーカの植込み、④経静脈電極抜去術(レーザーシースを用いるものによるリード抜去)などの治療が出来る認定施設です。

 今後も循環器領域の信頼を得ていけるように努力したいと思います。

当院での主な検査

●心電図検査

 

 

 

 心臓は拡張と収縮を繰り返し、常にリズミカルに動いています。血液を全身に運ぶポンプの役割を果たしており、成人では1分間に約60~80回拍動しています。心臓は筋肉でできた臓器ですが、効率よくポンプ機能が働くために、心房がまず収縮し、そのあと心室が収縮するように、刺激伝導系(図)という電線が心臓には張り巡らされています。

 

 

刺激伝導系


 まず、洞結節から電気信号が発生し、心房に伝導していきます。電気信号が来た時に、心臓の筋肉は収縮することになります。心房を伝導した電気信号は、房室結節を通ってヒス束、右脚、左脚、プルキンエ繊維から心室筋へ伝導していきますが、房室結節は特別電気の流れが遅いところですので、房室結節をゆっくり電気信号が通っている間に心房が収縮し心房から血液を心室に送り出します。房室結節を通った電気信号は、それ以降の刺激伝導路を通って心室筋に伝導していきますが、この部分は房室結節より50~100倍くらい伝導速度が速いため、即座に心室全体に興奮が伝わり心室が収縮し、血液を、心臓から肺や全身に送り出します。このようにして効率よく、心臓は拍動しています。このような心臓の電気的活動をみるのが心電図です。心臓のリズムが乱れる「不整脈」、あるいは、「狭心症」や「心筋梗塞」などの診断にも有用です。

 

正常な心電図


●運動負荷心電図検査

  

 

 運動負荷心電図検査には、簡単な方法としては、マスター法と呼ばれる2段になった階段を決められた時間、決められた速度で昇降する方法があります。また、自転車をこぐ自転車エルゴメーターやベルトの上を歩くトレッドミル検査などがあります。
 例えば安静時には症状なく、正常な心電図である狭心症の患者さんが、運動負荷をかけることにより、症状の出現と心電図に異常を認めることがあります。このように安静時と運動負荷時の心電図の変化を診断する検査です。

●ヘッドアップチルト試験(Head-up tilt test)

 

 

 突然、一時的に意識を失うことを失神と呼びます。ヘッドアップチルト試験(Head-up tilt test)はその失神の原因を調べる一つの検査です。
失神の原因の一つに自律神経の調節障害がありますが、ヘッドアップチルト試験は自律神経の調節異常が起こりやすいかどうかを調べる検査です。
 患者さんに検査台の上に横になっていただき、検査台を起こして傾斜をつけることにより、血液が重力により足の方に移動します。自律神経の調節異常のある方は、血圧・脈拍の調節がうまくいかず、一時的に脳の血流が減少して失神が起こります。このように、血圧計や心電図などのモニター類を装着して検査します。

●24時間ホルター心電図検査
 心臓病の検査には心電図検査が欠かせません。不整脈や胸部の症状が1日のうちの数分だけのこともあり、なかなか発作時に心電図でとらえることが難しい場合があります。また、自覚症状がないが不整脈や狭心症の発作が起こっている場合を含め、24時間にわたり心電図を記録する検査です。

●携帯型心電図検査
 心臓病の検査には心電図検査が欠かせません。不整脈や胸部の症状が1日のうちの数分だけのこともあり、なかなか発作時に心電図でとらえることが難しい場合があります。そこで最近は、携帯型の心電図を貸し出しており、いつでも、どこでも簡単に、異常が起きた時に素早く計測できる心電計です。

●植込み型ループ式心電計
 長期間心臓の拍動を継続的に監視し、不整脈や失神などを調べる検査です。症状が起きた時に、記録された心電図から異常がなかったかを調べることができ、失神の原因診断に利用されています。

 

 

検査技師による解析風景


●電気生理学的検査

 

心臓の中の電気的活動状態を調べます。

●心臓超音波検査(心エコー図検査)
 胸から探触子と呼ばれる小型のプローブから超音波を出すことにより、心臓の筋肉や弁に当たってはね返った超音波を受診することにより診断します。魚群探知機を想像して頂ければ理解しやすいと思います。超音波検査により、心臓の大きさ、形、心臓の筋肉の厚みや心臓の動きが分かります。弁の開閉、血液の流れ、速度や方向が分かりますのめ弁膜症の診断には欠かせない検査です。先天性の疾患、心嚢液、心臓外の異常構造物や血栓など診断できます。

●経食道心臓超音波検査(経食道心エコー図検査)
 直径約1cmの細長い管(経食道プローブ)を口から食道の中に入れて、心臓や大血管を身体の内側(食道・胃)から観察します。
 心臓の弁膜、心筋、大血管などの病気、心臓内の血栓の有無を診断し、その治療方針を決定するための検査です。通常の経胸壁心エコー検査(胸の外から観察する)では観察困難な部位をより詳しく検査します。

●上下肢血管超音波検査
 超音波にて、左右の上下肢の動脈や静脈を観察し、狭窄や閉塞、石灰化や動脈硬化、血流を調べます。

 

 


心臓超音波・上下肢血管超音波検査機器

 


経食道心臓超音波検査機器


●単純X線検査

 

 

 

心臓のサイズの変化や肺うっ血の有無などを調べます。

●心筋シンチグラフィRI検査

 

 

 

 心筋シンチグラフィとは、放射性同位元素を注射し、放出される放射線を撮影して、コンピュータ処理して画像にし、心筋の血流やエネルギー代謝などを調べる検査です。虚血の部位、虚血量、重症度、心筋の状態や交感神経機能などの評価をする検査です。

●CT検査

 

 

 

 筒のようなところに体を入れることにより、周りから照射されるエックス線でコンピュータを用いて作る断層写真です。

●冠動脈CT検査

 

 

 心臓は拡張と収縮を繰り返し、血液を全身に運ぶポンプの役割を果たしています。心臓自体に血液を供給するための血管が心臓を包むように分布しており、これを冠(状)動脈といいます。
 冠動脈は大きく分けると、左右の冠動脈からなり、左冠動脈は左前下行枝と左回旋枝の2本からなります。
 心臓コンピュータ断層撮影(CT)は心筋シンチグファフィー(RI)と比べ冠動脈病変の診断精度に優れています。検査時間が短く、狭窄病変の診断やプラーク形状評価などの形態的診断に適しています。

●心臓MRI検査

 

 

 CT検査と同じように、筒のようなところに体をいれて検査しますが、MRIは磁石の性質を利用して脳や心臓などの臓器に含まれる水分と脂肪の信号をとらえて画像にする検査です。
 局所心筋収縮能や心筋血流の定量的評価、心筋バイアビリティ診断、遅延造影MRIによる梗塞と線維化の診断、冠動脈狭窄などの情報を非侵襲的に評価できます。

●血管造影検査
 大動脈、および、選択的に上肢・下肢の血管や末梢動脈の血管内に造影剤を使用することで動脈硬化、狭窄病変や閉塞部位を調べる検査です。

●心臓カテーテル検査
 心臓は血液を全身に送り出すポンプの働きをする大切な臓器です。その大きさは握りこぶしより少し大きい程度で、全体が筋肉でできており、一分間に約4~5リットルの血液を送り出しています。心臓の内部は右心房、右心室、左心房、左心室の4つの部屋からなります。右心房→右心室→肺動脈→左心房→左心室→大動脈の一方向にスムーズに血液を循環させるために各部屋との間に逆流を防止するため、三尖弁、肺動脈弁、僧房弁、大動脈弁の4つの逆流防止弁が存在します。心室を形作る筋肉が異常をきたす病気が心筋症と呼ばれるもので、心臓の弁膜が異常をきたす病気が弁膜症と呼ばれるものです。
 心臓の筋肉は、大動脈から分かれて心臓の表面を包むように分布している冠(状)動脈と呼ばれる血管により血液(栄養や酸素)の供給を受けています。冠動脈は大きく分けると、左右の冠動脈からなり、左冠動脈は左前下行枝と左回旋枝の2本からなります。
 狭心症は、動脈硬化により冠動脈の内腔が狭くなること(狭窄)によっておきますが、血管のスパズムと呼ばれる冠動脈の攣縮により血流が悪くなり狭心症状を生じる場合もあります。不安定狭心症や急性心筋梗塞は、動脈硬化病変の粥腫(プラーク)が破裂して、血液の塊(血栓)が急速にできることにより、内腔が狭窄したり、閉塞して起きると考えられており、原因の大部分を占めます。
 心臓カテーテル検査は、弁膜症や心筋症、先天性心疾患等を調べる検査であり、冠動脈造影は、右冠動脈と左冠動脈を、カテーテルと呼ばれる管を使用して選択的に造影する検査です。

 

 

当院での主な治療

1.経皮的冠動脈インターベンション(PCI)
 1)風船治療(POBA)
 2)ステント治療
 3)ロータブレーター
2.末梢動脈インターべンション(PTA)
3.大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術治療
4.不整脈に対するカテーテルアブレーション
5.デバイス治療
 1)ペースメーカ植込み
    リードレスペースメーカ
 2)植え込み型除細動器(ICD)
    皮下植込み型除細動器(S-ICD)
 3)心臓再同期療法(CRT)
6.経静脈電極抜去術:(レーザーシースを用いるもの)によるリード抜去
7.経皮的カテーテル大動脈弁置換術・形成術(TAVI・BAV)