実績このページを印刷する - 実績

平成30年度の当院循環器科の実績の報告させて頂きます。

心臓カテーテル検査 773件
経皮的冠動脈形成術 475件
経皮的末梢動脈形成術 75件
経皮的大動脈弁拡張術 59件
心臓デバイス治療総数 256件
ペースメーカ関連  207件
(リードレスペースメーカ 74件)
TV-ICD  15件
S-ICD   11件
CRT    15件
リード抜去 7件
不整脈カテーテルアブレーション 340件
ステントグラフト総数 26件
胸部  4件
腹部 22件

 

<これまでの実績>


●経皮的冠動脈インターベンション(PCI)

 


●末梢動脈インターベンション(PTA)

 

●大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術治療

 

●不整脈に対する電気生理学的検査/カテーテルアブレーションEP・ABL

 

 

●デバイス治療
   除脈に対してのペースメーカ

 

平成29年9月から、新たにリードレスペースメーカが使用できるようになり、当院においても9月14日に第一例目を開始し、平成31年2月で100件を達成しました。

 

植え込み型除細動器(ICD)と心臓再同期療法(CRT)

 

 

●経静脈電極抜去術:(レーザーシースを用いるもの)によるリード抜去

 

●経皮的カテーテル大動脈弁置換術・形成術(TAVI・BAV)累積


当院での主な治療内容については、循環器基幹医療病院へ

 

<合併症について>

検査

  • カテーテル検査に伴う合併症

稀ではありますが、本検査において下記のような合併症が起こり得ます。特に60歳以上の方、心臓の機能が悪い方、冠動脈が高度に狭い方、弁膜症のある方、腎臓の悪い方、糖尿病および脳血管障害の既往のある方では合併症の確率が高くなるといわれています。

  1. 死亡
    生死にかかわる病気のために緊急でする場合もある検査でもあります。障害を受けている心臓に対して検査を行うこともあるために、どうしても合併症発生をゼロにすることができません。
  2. 心筋梗塞
    カテーテルによって冠動脈が傷ついたり、動脈硬化の粥腫(脂肪) が剥がれたものや血栓 (血液が固まったもの) が冠動脈に詰まることにより発生します。
  3. 塞栓症の発生
    カテーテルの通過により大動脈壁の動脈硬化によって生じた粥腫(脂肪)や血栓が剥がされ、全身の血管に詰まることにより発生します。これらの状態を塞栓症と呼びます。脳の動脈に詰まれば脳塞栓が起こり、脳梗塞となりますし、腸の動脈に詰まれば腸間膜動脈塞栓症、腎臓の動脈に詰まれば腎塞栓が発症します。その結果、各臓器や下肢の筋肉組織への血流が途絶えて多臓器不全となり、全身状態が急速に悪化することがあります。
  4. 薬剤アレルギー
    検査中及びその前後には造影剤、局所麻酔薬、抗血小板剤、抗生剤等の多種類の薬剤を用います。 造影剤をはじめあらゆる薬剤がアレルギー反応を起こす可能性があります。アレルギーが発生すると、くしゃみ、蕁麻疹、顔面や声門の腫れをおこし、呼吸困難や血圧低下等の重篤な症状が出現することがあります。 造影剤アレルギーのある方には事前に予防薬を使用いたしますのでお申し出下さい。
  5. 血管損傷
    穿刺処置、カテーテルやガイドワイヤーの操作により発生します。仮性動脈瘤(穿刺部の血管と周囲の組織が交通し、出血して腫れること)、動静脈瘻(穿刺部で動脈と静脈が交通すること)、動脈解離(動脈の壁に裂け目が入ること)を起こすことがあります。またごく稀に腹部の動脈に穴があくことにより後腹膜腔に血の固まり(血腫)ができることがあります。また心臓は心嚢という袋に取り囲まれていますが、カテーテルが心臓の壁を突き抜けることによりこの袋の中に血液が充満し、その結果心臓が圧迫されて十分に血液を循環させることができなくなる心タンポナーデを引き起こすことがあります。その際は、みぞおちの所から針を刺して血液を除去します。まれに開胸手術が必要になることもあります。
  6. 出血
    動脈を穿刺した部分から検査中や検査後に出血することがあります。多くは軽症ですが頻度の高い合併症です。出血した血の固まり(血腫)は、通常は後日、自然に吸収されます。大量に出血した場合は、必要に応じて輪血等の処置が必要になることがあります。穿刺部の出血が止まらない場合には手術が必要になることがあります。
  7. 迷走神経反射
    検査中や検査後に、気分不良とともに血圧低下や徐脈を来すことがあります。多くは一時的なもので、薬剤投与や原因除去により速やかに改善します。
  8. 心不全
    検査時の患者さんの心機能によりますが、精神的な緊張や造影剤の負担により心不全になられることがあります。 通常は薬物治療にて改善しますが、呼吸困難が激しく人工呼吸器が必要になることがあります。
  9. 重篤な不整脈の出現
    カテーテルによる心臓に対する機械的刺激、あるいは造影剤注入による化学的刺激により一時的に脈が乱れることがあります。多くの場合、これらの不整脈は一過性で何の後遺症も残しません。しかし稀に心室性頻拍症、心室細動、徐脈あるいは心停止などの重篤な不整脈が出現することがあります。
  10. 腎不全
    特に腎機能障害がある方では、程度の差はあっても造影剤によって腎機能がさらに悪化することがあります。腎機能が一定以上悪化している方は、腎機能の保護を目的に検査前から輸液(点滴) を多めにさせて頂くことがあります。 稀に造影検査後に継続的な血液透析に進展する場合もあります。
  11. 放射線皮膚障害
    稀に放射線照射(レントゲン) による皮膚の障害(ただれ等) が発生することがあります。

その他にも頻度は非常に低いですが、予想しにくい合併症の起きる場合があります。その他の合併症として、空気塞栓、カテーテル断裂、ステント脱落、穿刺部末梢の持続性疼痛などが起こることがごくまれにですがあります。万が一重篤な合併症が発生した場合には、直ちに呼吸補助、経皮的冠動脈インターベンション、心囊ドレナージや外科的手術等の処置を必要に応じて行う場合もあります。合併症が起こって治療を行ったり、検査中に血行動態が不安定になったりする場合には、術後1~数日間は集中治療室(ICU)で治療を必要とすることがあります。検査後の患者さんの状態で主治医が判断いたします。

 

 

PCI:治療

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の合併症

心臓カテーテル検査の延長上の治療ですから、別述した心臓カテーテル検査の合併症の可能性に加えて下記の合併症が考えられます。

  1. 死亡
    既に病気のために障害を受けている心臓に対して治療を行うために、どうしてもその発生頻度をゼロに出来ません。
  2. 急性心筋梗塞
    冠動脈の解離や血栓による急速な冠動脈の閉塞が原因で発症します。強い痛みが起こるだけでなく、最悪の場合には死に至ることもあります。
  3. 緊急冠動脈バイパス術
    PCIだけでは対応できない緊急の事態が発生した場合に必要となることがあります。上記の急性心筋梗塞を発生した方の一部が適応となります。この手術は全身麻酔下で行われ、胸を開いて心臓を一時的に停止させて人工心肺を用いる必要があります。
  4. 亜急性血栓性冠閉塞
    ステントを留置した場合、アスピリンを含む2剤の抗血小板剤を内服しているにも関わらず、術後1日から2週間頃までにステント血栓が形成されて冠動脈が急速に閉塞することがあります。
  5. 冠動脈穿孔、冠動脈解離、心タンポナーデ
    バルーンやステントを拡張した際やロータブレーダーなどを施行した時に、冠動脈が裂けたり、穴が開いたりして、そこから出血することがあります。心臓は心嚢という袋に取り囲まれていますが、この袋の中に血液が充満し、その結果心臓が圧迫されて十分に血液を循環させることができなくなる心タンポナーデを引き起こすことがあります。心臓の周りに血液がたまるとその圧追のため心臓が動かなくなります(心タンポナーデ) ので、バルーンで出血部位を押さえると共に心臓の周りの血液を抜き取ります。 ガイドワイヤーで血管の先から小さな出血を起こすこともあります。その場合には、その血管をコイルなど使用して止血を行うこともあります。止血できない場合は緊急手術を要します。
  6. 側枝閉塞
    治療冠動脈部位の近傍から冠動脈の枝(側枝)が出ている場合があります。ステント治療などにより、その枝が閉塞してしまうことがあります。小さな枝であれば臨床上問題となることは稀です。大きな枝の場合はそれを保護するような手技を用います。 大きな枝が閉塞すると一定の範囲の心筋梗塞を形成して胸痛が持続することがあります。しかし多くの場合生命に関わることはほとんどありません。
  7. 大動脈解離
    カテーテルやガイドワイヤーにより大動脈の壁が裂けることをいいます。 冠動脈の入り口の近くや上行大動脈で発生すると危険な状態になります。
  8. 塞栓症の発生
    カテーテルの通過により大動脈壁の動脈硬化によって生じた粥腫(脂肪)や血栓が剥がされ、全身の血管に詰まることにより発生します。これらの状態を塞栓症と呼びます。脳の動脈に詰まれば脳塞栓が起こり、脳梗塞となりますし、腸の動脈に詰まれば腸間膜動脈塞栓症、腎臓の動脈に詰まれば腎塞栓が発症します。その結果、各臓器や下肢の筋肉組織への血流が途絶えて多臓器不全となり、全身状態が急速に悪化することがあります。
  9. 穿刺部出血、血管損傷
    治療時には検査時よりも太いカテーテルを使うことが多いので、術後に十分な圧迫止血を実施したにも関わらず穿刺部の出血が発生することがあります。穿刺部の出血が止まらない場合には手術が必要になることがあります。
  10. 薬物による副作用
    検査中及びその前後には造影剤、局所麻酔薬、抗生剤等の多種類の薬剤を用います。 造影剤をはじめあらゆる薬剤がアレルギー反応を起こす可能性があります。アレルギーが発生すると、くしゃみ、蕁麻疹、顔面や声門の腫れをおこし、呼吸困難や血圧低下等の重篤な症状が出現することがあります。 造影剤アレルギーのある方には事前に予防薬を使用いたしますのでお申し出下さい。
    また、冠動脈疾患を有する患者さまに対して、将来の心臓発作を抑えることが明らかな薬剤にアスピリンがあります。また上記のようにステントを留置した患者さまは、亜急性血栓性冠閉塞を予防する目的で抗血小板剤を内服して頂きます。これらの薬物の副作用として、胃潰瘍、急性胃炎、消化管出血、管支喘息、蕁麻疹、肝障害、白血球減少症、血小板減少症等があります。内服中は定期的な採血が必要となります。またこれらの抗血小板剤の内服中は、出来るだけ手術や歯科治療は避け、外傷等に注意する必要があります。
  11. 心不全
    検査時の患者さんの心機能によりますが、精神的な緊張や造影剤の負担により心不全になられることがあります。 通常は薬物治療にて改善しますが、呼吸困難が激しく人工呼吸器が必要になることがあります。
  12. 放射線皮膚障害

    稀に放射線照射 (レントゲン) による皮膚の障害 (ただれ等) が発生することがあります。
    その他の合併症として、空気塞栓、カテーテル断裂、ステント脱落、穿刺部末梢の持続性疼痛などが起こることがごく稀にですがあります。
    合併症が起こったり、治療中に血行動態が不安定になったりする場合には、術後1~数日間は集中治療室(ICU)で治療を必要とすることがあります。術後の患者さんの状態で主治医が判断いたします。

 

 

<歴史をふりかえって>

昭和56年に当病院の開院ともに、旧鹿児島大学第一内科から医師の派遣をうけ、循環器内科が開設されました。平成4年には旧鹿児島大学第二内科からも医師の派遣が始まり、2チーム体制で診療をおこない、循環器診療から生活習慣病の管理までを充実化させることができるようになりました。数多くの開業医、地域中隔病院、大学病院に支えられ、そして、それぞれのチームが切磋琢磨することにより、年間心臓カテーテル検査数、冠動脈カテーテル治療数は日本でも上位ランクとなりました。南九州での循環器診療をリードできる病院に成長できるよう、日々の研鑽をおこなっております。

 

<当科の方針>

現在は当院の2大方針である循環器・脳血管救急医療の充実化を中島均医師中心に、地域医療の連携の充実化を薗田正浩医師中心に、当科一丸となって取り組んでおります。

 

<今後の展望>

県外の限られた施設のみでおこなわれている、エキシマレーザーを使用し、感染の原因となった心臓デバイスを抜去する治療を、当院でもできるようになりました。また経カテーテル大動脈弁治療にむけての、ハイブリッド手術室を設立いたしました。また心不全の長期管理のため、ネットワークづくりを始めています。