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腫瘍内科診療実績

 

 腫瘍内科は、2013年4月に、まったく新しい診療科(鹿児島県内唯一)として診療を開始しました。“すべてのがんの内科的治療をおこなう”という基本方針で、着実に診療規模を拡大してきました。この6年間で、腫瘍内科としての診療は、無事に軌道に乗りました。
 6年目の2018年度の延べ外来患者数は、2,492名、入院患者数は、154名でした。外来患者数は昨年よりもさらに増加し、入院患者数が、今年度は、昨年よりもさらに37名の増加となり、医師増員の効果が現れてきました。当科では、化学療法は可能な限り外来化学療法で行うという基本方針を掲げていますが、外来化学療法の患者数は、引き続き順調に増加し、2018年度は延べ680名(2017年度504名、2016年度495名)となりました(院内全体の患者数の1/3にあたります)。
 2018年度の入院患者の内訳は図の通りで、昨年同様、全身すべてのがんを診療しています。6年目の特徴は、同時性の重複がんの治療がさらに増え、7例を数えた事です。このような患者さまは他の施設では診療できず、当科の特徴の一つとなってきました。今年度の特徴のもう1つは、特に分子標的薬による治療・免疫チェックポイント阻害薬による治療の件数が著しく増加してきた事です。昨年度同様に、肺癌・大腸癌・膵臓癌、悪性リンパ腫・成人T細胞白血病・多発性骨髄腫等の血液腫瘍は引き続き多数診療しました。甲状腺がん診療連携ネットワークによる甲状腺癌(乳頭癌、未分化癌)も引き続き診療しています。稀少癌(平滑筋肉腫、脂肪肉腫、神経内分泌癌、腺様嚢胞癌、悪性褐色細胞腫、GIST等)の診療も精力的に行っています。肉腫学会指導医・専門医による診療の効果か、肉腫の診療数も増加の一途です。また、昨年度からAYA世代のがん治療にも守備範囲を広げましたので、紹介患者が徐々に増えてきました。
 当科では、造血器・呼吸器・消化管・乳房の4領域のがんを日常的に診療しています。このような施設は、国内ではきわめて珍しいのですが、これが当科の診療の一番の特徴です。つまり、当科は、いわゆる“5大がん”(肝臓癌を除く)全てに対応して、内科的治療を行っています。

 

1.甲状腺がん診療連携プログラム 

 日本臨床腫瘍学会と日本内分泌外科学会および日本甲状腺外科学会は、甲状腺がんの分子標的治療に関する連携プログラムを発足させました。このプログラムは、新規の全身化学療法を甲状腺がん治療に導入するにあたって、有害事象管理や合併症管理に診療科横断的に取り組むことにより、本邦における甲状腺がん治療成績の向上を目指すものです。

 当科も2014年度からこれに参加し、鹿児島県では、甲状腺外科の代表が鹿児島大学病院の乳腺・甲状腺外科ですが、内科側の代表を当科が務めています。

 

2.頭頸部がん診療連携プログラム

 日本頭頸部外科学会と日本口腔外科学会および日本臨床腫瘍学会では頭頸部がんにおける薬物療法の適正使用と治療成績の向上をめざして、学会間の診療連携協力を推進することになりました。 

 

 2017年12月よりこのプログラムがスタートしましたが、当科もこのプログラムに参加し、鹿児島県内では鹿児島大学病院とともに当院が連携協力医師を登録して、診療しています。

 

 
入院患者内訳(2018年度)