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婦人科

主として婦人科悪性腫瘍の診療を行っていますが、良性腫瘍を含め婦人科疾患一般について広く取り扱っています。

 婦人科領域の悪性腫瘍には子宮頸癌・子宮体癌・卵巣癌・外陰癌・膣癌などがあります。
 治療法には手術、放射線治療、化学療法(抗癌剤治療)等があり、各疾患に適して治療を選択しています。
 治療法の選択には正確な診断が不可欠ですが、当科では内診や超音波検査に加えMRI・CT・RI検査等を駆使して正確な診断を行っています。また治療法は一つだけということはなく、手術と放射線治療、手術と化学療法あるいは放射線治療と化学療法など組み合わせて行うことも少なくありません。
 治療前に患者さまと十分に話し合い、患者さまに納得していただいた上で治療法を決定しています。

 

 

子宮頸癌は早期症例については広汎子宮全摘術若しくは放射線療法(或いは併用)、進行例については放射線療法を施行します。主に子宮頸癌に対して行う放射線治療はリニアックと呼ばれる体外照射装置とマイクロセレクトロンと呼ばれる腔内照射装置を組み合わせて行います。リニアックに関してはH26年に新型に刷新されております。当院では、手術を含め子宮頸癌の治療を完遂することが可能です。

 子宮体癌に関しても発症数は増加傾向です。ライフスタイルの変化も原因として考えられており全国癌登録では2010年に頸癌を上回りました。治療法としては病期に関わらず手術を行い術後にリスク分類に応じて化学療法を行います。手術は子宮及び子宮付属器摘出と骨盤から傍大動脈リンパ節を系統的に摘出します。一方、早期症例についてはリンパ節転移の頻度は低く、リンパ節郭清の省略が考慮されます。早期子宮体癌に関しては、腹腔鏡下手術が全国的に行われつつあり、当院でも本年6月より導入が予定されています。

 

 

卵巣癌に関しては、手術及び抗癌剤を組み合わせて治療を行います。組織型や初回手術での残存病変の有無が予後を規定します。化学療法により、癌を長期にわたり制御できる症例も増えており、進行癌での5年生存率も少しずつ上昇してきております。さらに、分子標的治療薬のBevacizumabが卵巣癌で保険適応となり使用できるようになりました。卵巣癌は早期発見が難しく、初診時にすでに進行していることの多い疾患です。従って初回手術時に完全に病巣を取り除けない症例もありますが、当科では外科の医師にも手伝ってもらい消化管を合併切除するなどできるだけ多くの病巣を切除するよう努めています。卵巣癌に対する化学療法は多数の抗癌剤の中から組織型を考慮して数種類の抗癌剤を選び併用して使います。エビデンス(裏付け)に基づいた的確な抗癌剤を選択することで治療効果が上がってきています。
 子宮癌や卵巣癌など婦人科癌治療後の合併症として下肢にリンパ液が貯留するリンパ浮腫があります。このような患者さまに対し当院ではリンパ浮腫外来を開設し資格認定を受けた看護師によりマッサージ等の指導を行っています。
 当科で取り扱う良性疾患にはおもに子宮筋腫・子宮内膜症・卵巣嚢腫などがあります。
 治療法としては手術や薬物療法になりますが、年齢や妊孕能温存を考慮した治療法を選択しています。良性疾患の手術に関しては開腹手術および腹腔鏡下手術を行っています。症例毎に検討し、現在は半数以上が腹腔鏡下手術になっています。腹腔鏡下手術は体に与える影響が少なく、入院期間も短縮できますが、全ての患者さまにおいて実施できるわけではありません。患者さまと相談の上術式を決めますのでご相談下さい。
 外来診療ではこれらの疾患に加え、STD(性行為感染症) や更年期障害などの患者さまも来院されます。 近年クラミジア感染症や淋病などのSTDが増えており注意が必要です。
 これを放置しますと不妊症の原因となることもあり、早めの治療が必要です。

 

実績

手術件数の推移

 

悪性腫瘍手術件数の推移

 

癌登録件数の推移

 

婦人科領域の悪性腫瘍には子宮頸癌・子宮体癌・卵巣癌・外陰癌・膣癌などがあります。
 当科では毎年100名程度の患者さまが新規に治療を開始しておられ増加傾向です。
 平成28年度は103名が新規に治療を開始されましたが、内訳は子宮頸癌38例(CIN3は含まず)、子宮体癌43例、卵巣癌22例でした。平成28年度は、手術件数が437件であり増加傾向です。癌手術に関しては子宮癌手術(体癌+頸癌)が56件、付属器悪性腫瘍手術が24件となっています。内視鏡下手術は子宮全摘術が32件、付属器腫瘍手術が38件などとなっております。その他、子宮脱やTCR、円錐切除術、子宮頸部レーザー蒸散術など様々な手術を施行しております。手術件数の増加に伴い手術枠を拡大して対応しています。