診療科の紹介

2013年4月に開設し、すべてのがんを対象にして、内科的治療を行っている、鹿児島県内唯一の診療科です。早いもので、開設後丸7年間が経過しましたが、いまだに県内ではこのような診療科は当科のみです。肺癌・乳癌・胃癌・大腸癌・膵癌・悪性リンパ腫・成人T細胞白血病・多発性骨髄腫・軟部肉腫・甲状腺癌・原発不明癌をはじめ、食道癌・胆管癌・悪性黒色腫・卵巣癌・稀少癌(神経内分泌腫瘍(癌)、腹膜中皮腫、肺以外の全身の小細胞癌、性腺外杯細胞腫瘍、GIST、 乳腺葉状腫瘍等きわめて希な癌)も診療します。また、同時性重複癌(肺癌と胃癌を同時に発病した場合など)の診療も得意としています。免疫チェックポイント阻害薬の治療症例数も着実に増加しています。2020年3月には、食道癌のnivolumabによる治療も始めました(3月のみで既に3例の患者さんの治療が進行中です)。
患者さんは増加の一途ですが、ゼロからスタートした開設時のコンセプトはそのままに、鹿児島県の“がん難民”を少しでも減らす事に貢献できればと考えて毎日の診療を行っています。当科が、がん患者さんにとって“わら”のような診療科になれればと考えています。
なお、当科では、緩和ケアを治療開始の時点から考慮してがんの治療を行っています。終末期医療についても、入院を含め、御希望に応じる事ができると思います。また、「残念ですが、もう治療はありません」 と言われたけれども、本当にもう何もできることはないのか、こんなに元気なのに・・・と考えている癌の患者さん(あるいはその御家族の方)に対しても、腫瘍内科専門医の立場でセカンドオピニオンに応じています。その後、化学療法を再開した患者さんも多数いらっしゃいます。
2018年4月より、“AYA世代のがん医療”の専門医による診療を始めました。
2018年12月より、ゲノム医療専門医による外来(遺伝子パネル検査の相談)、血液腫瘍専門医による外来、肉腫専門医による外来、に特に力を入れて診療を行っています。なお、この7年間で、当科での軟部肉腫の治療例数は既に40例を超えていますので、いつでも御相談下さい。
2019年4月より、腫瘍ではありませんが、血友病とその関連疾患の診療の専門外来も開設しました。
なお、当科は日本臨床腫瘍学会の認定施設(科)であるのみでなく、日本血液学会の認定施設(科)でもあります。
当科では、がんの治療に関することでしたら、メールでの相談(匿名で結構です)にも応じていますので、遠慮なく御利用下さい。(アドレスはuozumi9697kmc(a)gmail.comです。(a)を@に変更してください。)
スタッフ紹介 【2020年4月1日現在】
魚住 公治 Kimiharu Uozumi
部長
- 腫瘍内科
- がん薬物療法専門医・指導医
- がん治療認定医
- 血液内科専門医・指導医
- 総合内科専門医
- 肉腫専門医・指導医
鈴木 紳介 Shinsuke Suzuki
医師
- がんゲノム医療
- がん薬物療法専門医
- がん治療認定医
- 血液内科専門医
- 総合内科専門医
田邊 貴幸 Takayuki Tanabe
部長
- 小児科
- 小児血液腫瘍
- 小児科学会専門医
- 血液学会専門医
外来診療曜日・担当表
受付時間 午前8時30分から午前11時00分まで
診療時間 午前8時30分から午後5時15分まで *ただし、急患についてはこの限りではありません。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
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初診 | 魚住 | 魚住 | 魚住 | 魚住 | 魚住 |
再診 | 魚住 | 魚住 | 魚住 | 魚住 | 魚住 |
腫瘍内科診療実績
腫瘍内科は、2013年4月に、まったく新しい診療科(鹿児島県内唯一)として診療を開始しました。“すべてのがんの内科的治療をおこなう”という基本方針で、着実に診療規模を拡大してきました。
小児科の田邊貴幸医師が、AYA世代のがん患者の診療を目的に2017年10月より当科の診療に参加してくれましたので、6年目にしてやっと医師2名診療体制が実現しました。このため本年度も患者数は順調に増加し、外来患者は毎週50名を超え、入院患者は、1日あたり20〜30名で推移しています。2019年の外来患者総数は約2,500名、入院患者総数は約150名でした。患者内訳は図の通りですが、およそ血液腫瘍2割、胃癌・大腸癌・膵臓癌・乳癌・肺癌各1割、原発不明癌1割、軟部肉腫1割、その他(食道癌・胆管癌・悪性黒色腫・神経内分泌細胞癌・腎細胞癌・膀胱癌・胚細胞腫瘍・卵巣癌・頭頸部癌・甲状腺癌など)1割となっています。昨年に引き続き、様々な腫瘍の紹介がさらに増加してきており、全身ほぼ全ての癌種を診療しています。また、外来化学療法の患者数は、625名でした。これは院内の診療科の中では最も多く、全外来化学療法患者数の約1/3を占めています。今年度も同時性の重複がんの治療がさらに増え、8例を数えました。このような患者さんは他の施設では診療できず、当科の特徴の一つとなりました。今年度も、特に分子標的薬による治療・免疫チェックポイント阻害薬による治療の件数がさらに増加しました。この患者数も院内では最も多い症例数となっています。鹿児島県内唯一の化学療法を専門とする診療科として、引き続きより一層の診療レベルの向上を目指しています。
なお、当科では、造血器・呼吸器・消化管・乳房の4領域のがんを日常的に診療しています。このような施設は、国内ではきわめて珍しいのですが、これが当科の診療の一番の特徴です。つまり、当科は、いわゆる“5大がん”(肝臓癌を除く)全てに対応して、内科的治療を行っています。
1.甲状腺がん診療連携プログラム
日本臨床腫瘍学会と日本内分泌外科学会および日本甲状腺外科学会は、甲状腺がんの分子標的治療に関する連携プログラムを発足させました。このプログラムは、新規の全身化学療法を甲状腺がん治療に導入するにあたって、有害事象管理や合併症管理に診療科横断的に取り組むことにより、本邦における甲状腺がん治療成績の向上を目指すものです。
当科も2014年度からこれに参加し、鹿児島県では、甲状腺外科の代表が鹿児島大学病院の乳腺・甲状腺外科ですが、内科側の代表を当科が務めています。
2.頭頸部がん診療連携プログラム
日本頭頸部外科学会と日本口腔外科学会および日本臨床腫瘍学会では頭頸部がんにおける薬物療法の適正使用と治療成績の向上をめざして、学会間の診療連携協力を推進することになりました。
2017年12月よりこのプログラムがスタートしましたが、当科もこのプログラムに参加し、鹿児島県内では鹿児島大学病院とともに当院が連携協力医師を登録して、診療しています。

トピックス
当科は内科としては鹿児島県で唯一これに参加し、甲状腺がんの分子標的薬治療を担当しています。