繰り返す失神発作を認め、心電図やホルター心電図検査等のいろいろな検査をしても原因が分からない場合があります。このような場合に、診断に役立てるために開発されたのが、体内に小型心電計を植込むimplantable loop recorder(ILR)です。長時間心臓の拍動を継続的に監視し、不整脈や失神などの症状が起きた時の心電図を記録する装置です。
現在、日本では3社の製品が発売されております(図1)。下の2つの製品は、これまで発売されていたものであり、外見はメモリステックに近く、内部に電池とメモリ、表面両端に記録電極が内蔵されています。心臓前面の皮下に、局所麻酔にて小切開を加えて挿入し(図2)、電池寿命は3年です。手術時間としては、15分程度で終了します。サイズが小さいので植込んだ後もほとんど目立ちません。条件はありますがMRI検査対応となっています。
手術時にもっともきれいな記録が取れる位置を体表面から検索して植込みますが、基本的にP波の認識が困難です。最近、図1の一番上の製品が、別の会社から発売されました。アンテナがある分少し大きくなっていますが、P波がはっきり認識でき(図3、4)、電池寿命も4年となっております。
原因不明の失神、極めて心機能が悪い例の失神などの診断に最も威力を発揮できる機器です。
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図2
図3
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