鹿児島医療センターの外科・消化器外科では、知識や技術だけではなく、人間性を含めた全人的医療を患者様に実践することを心掛け、人間味のあるacademic surgeonの集合体を目指しています。論理的な思考力を養うため臨床研究を推進し、日本だけではなくグローバル医療の中で客観的に評価される英文雑誌に投稿してきました。今回、過去3年間、当科での臨床に基づいた英語論文7つをご紹介します。Open Accessは論文PDFファイルの閲覧が可能です。その他はメールでリクエストいただければ、論文PDFファイルを送付させていただきます。
菰方 輝夫
Email: komokata.teruo.je@mail.hosp.go.jp
In Department of Surgery, Kagoshima Medical Center, we keep in mind to practice all human medical care including human nature to patient as well as knowledge and technique of surgery, and aim at the aggregate of academic surgeon with the humanity. We promoted a clinical study to develop a logical intellectual power and posted it on an English Journal evaluated in global medical care objectively as well as Japan. For the past three years, we introduce seven English articles based on the clinical practice in our course this time. Open Access is available for reading of the article PDF file. In addition, I send an article PDF file of Not-Open Access if you can request it by an email.
Teruo Komokata, MD, PhD
Email: komokata.teruo.je@mail.hosp.go.jp
1.Ann Vasc Surg. 2017
膵臓を栄養する動脈が2か所動脈瘤となった患者様です。動脈瘤は大きくなればなるほど破裂のリスクが上がり、時に致死的な腹腔内出血を来します。放射線科による血管内治療と消化器外科治療および心臓血管外科によるバイパス治療を組み合わせて、治療させていただいたケースレポートです。
2.BMC Surg 2018
オリンパス製のサンダービートという手術器具デバイスを用いて肝臓切離を行い、その安全性、出血制御力、スピードを、従来の肝臓切離法と比較した結果、安全性と出血制御力は同等で、肝切離のスピードは、サンダービートが有意に速かったという報告です。手術時間を短縮することで、患者様への負担の軽減につながる可能性があります。
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3.European Surgery 2019
大腸癌が肝臓の右葉に複数個および肝臓の胆管の交わる部位（肝門部領域胆管）に転移して、閉塞性黄疸を来した患者様です。2回に分けて手術（1回目は横行結腸切除と肝臓左葉を太らせる処置、2回目は拡大肝右葉＋胆管切除＋右腎臓摘出）して、その後、全身化学療法を施行し、論文提出時、患者様は手術後3年間経過で社会復帰された時のケースレポートです。
4.Am J Case Rep. 2019
下大静脈原発の平滑筋肉腫で肝臓に複数個転移を来した比較的若年者の患者様です。心臓血管外科と協力して、下大静脈を腫瘍と共に切除し、人工血管で再建して、肝臓転移巣に対して、肝臓切除を同時に行い、その後全身化学療法を施行した時のケースレポートです。
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5.Asian J Surg. 2020
肝臓切除は、出血しやすく、出血量をできる限り抑えることが重要です。当科で肝臓切除を受けられた79名の患者様のうち、大量かつ複雑な肝切除を受けられた6名の患者様には、肝臓に流入する血管及び肝臓から流出する血管を同時に一時的に遮断して、迅速かつ安全に肝臓切除を行うノウハウを提唱した論文です。
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6.ANZ J Surg. 2020
心臓・脳血管疾患などで最近では血液サラサラのお薬を服用されている患者様が多くなってきています。また、膵頭十二指腸切除という手術は、膵臓がん、胆管がん、十二指腸乳頭部がんなどの膵頭部領域腫瘍に対する術式で、高侵襲高難度の手術となります。この論文では、血液サラサラを服用されていない患者様（約60％）、服用されいる患者様（約40％）が、この手術を受けられた時の手術成績を特に、出血、血栓性の合併症を中心に比較検討しています。結論は、たとえ血液サラサラのお薬を服用されても、綿密な対応策、正確な手術により、安全に高侵襲高難度の膵頭十二指腸切除が出血・血栓性の合併症を増やすことなく可能ということです。
7.Surg case rep. 2020
抗Gerbich抗体という非常にまれな抗体をもつ血液型で、通常の輸血をすると溶血反応による副作用が危惧される原発性肝細胞癌の患者様に肝中央2区域切除という大量かつ複雑な肝切除を行ったケースです。術前自己血貯血および麻酔導入時の希釈性血液採取という手法を用い、出血を抑えた肝切除技法を併用して、同種血輸血を回避できたとするケースレポートです。
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