独立行政法人 国立病院機構 鹿児島医療センター

「鹿医セン便り Vol.196」

2022年8月1日(月)

東京都臨時医療施設 立ち上げについて報告

 新型コロナウィルスの流行第6波拡大に伴い、東京都に臨時の医療施設を開設することとなりました。私は臨時医療施設の立ち上げメンバーとして、31日~48日の約5週間東京に派遣されましたので、活動についてご報告いたします。

<東京都臨時医療施設の概要>   

 開設者(委託者):東京都知事             

 運営管理(受託者):独立行政法人国立病院機構 理事長  

 設置場所:国立病院機構東京病院敷地内にプレハブ建設  

 医療施設の管理者:東京病院院長

 運営病床:80床(40床×2病棟)

 受入患者:軽症~中等症、疑似症   

 人員配置:全国の国立病院から職員を派遣    

 運営開始日:令和4310日(木曜日)  

 3月1日、コアメンバーである師長、副師長、看護スタッフの計8名が集結し、本部からの指令を受けました。指令内容は、「310日に開院できるように必要な準備を行い、必要とされる物品を洗い出す」というものでした。この日プレハブはまだ建設中であり、施設に立ち入ることができず、隣の東京病院に場所をお借りして準備開始となりました。「必要な準備」とは、業務手順の作成、施設のレイアウト作成、電子カルテ操作マニュアル作成、多職種との連携方法、薬品や物品の定数決定、入院患者さま向けの資料作成など多岐に渡りました。私たちコアメンバーは途方に暮れる間もなく、自然に役割分担を行い淡々と業務を進めました。37日、やっとプレハブでの作業が開始となり、病室・ナースステーションの物品配置やゾーニングを行った後、その日の午後に多職種で入院患者の受け入れについてシミュレーションを行いました。もちろん1日ではうまく進まなかったため、翌日も設営や多職種での話し合いを繰り返しました。39日午後に全国から43名の看護スタッフが集結したので、オリエンテーションを実施し、310日の開院に無事こぎつけることが出来ました。土日も挟んだため、実質7日間で、ゼロから開院準備を行ったことになります。

 いざ開院すると多くの問題に直面し、私たちが作成した業務手順は部分的に「机上の空論」であったと気付かされ、毎日修正を余儀なくされました。また、入院患者さまの多くは施設のクラスターで感染した認知症や知的障害の方だったため、徘徊したり、環境の変化に馴染めず興奮されたりと、コロナ感染の治療だけにとどまらない対応が必要とされました。さらに、プレハブならではの問題もあり、外気温はそれほど高くなくとも日差しにより病室内の温度が上昇したため、飲水を促すなどの脱水症対策が必要でした。また、高齢の患者さんが10日間病室にいることで日常生活機能が低下することも考えられたので、看護師と行うリハビリも取り入れました。

    

▲入院受入の様子                ▲病棟内を看護師とリハビリ中

 私の役割として、患者さまとスタッフの安全を守ることは大前提ですが、全国から集結したスタッフが「派遣に来て良かった、また派遣に行きたい。」と思えるような環境づくりにもこだわりました。業務内容は可能な限りシンプルに、見える化し、慣れない環境に不安を感じているスタッフに寄り添うよう心がけました。幸い、全国から優秀なスタッフが選ばれて派遣されていたため、私自身がスタッフに助けられることもあり、私のミッションはそつなく達成できたように思います。

 今回の派遣はかなりタイトなスケジュールでした。そのため、何故ここまでのことができたのかコアメンバーと振り返ることがあります。まずは、本部の指令が的確であり自分たちの役割が明確であったこと。本部や師長さんが私たちコアメンバーに決定権をくださったこと。そして、国内最大級のネットワークを有した国立病院機構が豊富な人材を集めたことが成功への糸口であったと思います。

 私自身、普段は心臓血管外科のJNP(ナース・プラクティショナー)としてコロナとは関係のない部署で働いていますが、今回の派遣により色々な意味で成長できたように思います。今回の経験を何らかの形で還元したいと考えております。派遣に際しお世話になった方々、派遣に選んでくださった院長や看護部長に深くお礼を申し上げます。また、新型コロナ感染拡大により苦しんでいる方々が早く救われますようにお祈りいたします。

(文責:心臓血管外科診療看護師(JNP:ナース・プラクティショナー) 伊藤 由加)

▲臨時医療施設(プレハブ)に物品を搬入している様子

  

▲本部の方とコアメンバー          ▲全国から集まったスタッフと一緒に

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