独立行政法人 国立病院機構 鹿児島医療センター

「鹿医セン便り Vol.175」

2020年11月1日(日)

末梢挿入型中心静脈カテーテル挿入
100症例超えました

 中心静脈カテーテルは、食事を摂取できない時の点滴治療、抗がん剤治療や特殊な薬剤投与など、現代医療のさまざまな場面で使用されています。中心静脈カテーテルは内頚静脈や鎖骨下静脈、大腿静脈から挿入することが多いのですが、気胸や動脈誤穿刺といった手技に関する合併症や、長期留置による感染のリスクも伴います。末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC:Peripherally inserted central venous catheter)は、上腕の静脈から挿入することにより安全で感染率が低いとされており、患者さんが手技中に感じる恐怖心を和らげ、体への負担を軽減することができます。手技時間は15分から30分と、短い時間で行うことができるのも特徴です。日本では2010年に保険適応となっており、手技を安全に行えることから、2015年厚労省通知によりチーム医療推進のための看護師特定行為の中にPICC挿入も含まれ、所定の研修を修了した看護師が実施出来るようになりました。
当院でも2019年4月に診療看護師が2名誕生し、看護師が安全にPICC挿入を行う体制作りが必要となり、第二循環器科部長 東健作先生のご指導のもとPICCチームの立ち上げを行っています。2019年度はチームとしての認知度が低く、症例数は7診療科の53例にとどまりました。
 2020年度は、中心静脈カテーテルを必要とする様々な科(13診療科)から依頼を頂き、9月14日の時点で100症例に達しています。看護師がPICC挿入を行うことで医師が医師の仕事に専念することができ、患者さんが迅速に治療を受ける体制を整えることができるようになりました。末梢点滴の差し替えが不要となり、血管静脈炎の発生低下やコスト削減にも繋がっています。従来のように、首や足の付け根からの中心静脈カテーテル挿入により長期安静を強いられたり、感染のためにカテーテルを入れ替えたりすることも少なくなってきています。さらに、PICCからの採血も可能なため、血管が細く何度も針を刺される患者さんのストレスや、何度も穿刺する看護師のストレスをPICCにより大きく軽減できていることは、私たちとしても光栄なことだと感じています。
 また、2020年2月からは外科医師と協力して皮下植え込み型PICCポート留置も行っています。PICCポートは植え込み型なので日常生活の邪魔にならず、外来での抗がん剤治療にも有用です。今年度、PICCポート留置はすでに63例(9月30日時点)実施しており、患者さんのさらなるストレス軽減に繋がっているのではないかと思います。今後も患者さんが安全、安樂な治療を選択できるように、PICCチームとして全力でお手伝いしていきたいと思います。

文責:診療看護師 伊藤由加

     

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