院長就任のご挨拶

 202541日より田中康博前院長を引き継ぎ、新院長に就任した西尾善彦です。前任の鹿児島大学大学院糖尿病・内分泌内科学講座でも大変お世話になりましたが、今後は地域医療を担う公的病院の一つとして重要な使命を持つ鹿児島医療センターの院長としてお世話になります。どうぞ、引き続き宜しくお願い申し上げますとともに就任にあたってのご挨拶を申し上げます。


 コロナ感染症がようやくひと段落ついた現在ですが、ご承知の通り病院の経営環境は極めて厳しい状態になっています。特に、県立や市立病院、大学病院などの地域医療の中核を担う公的病院の赤字が全国的な問題になっていますし、鹿児島医療センターが属する独立行政法人国立病院機構もその例外ではありません。全国140の国立病院機構に属する病院のうち約85%の病院が赤字を計上しています。鹿児島医療センターにおいてもコロナ感染症で下げざるを得なかった病床稼働率がコロナ感染症の沈静化した現在でもなお回復せず、2023年、2024年度と大幅な経常赤字を出さざるを得ない状況に陥っています。鹿児島医療センターは国立病院機構に属する公的病院ですが、だからと言って決して赤字が許される環境にはありません。これまでも病院経営の健全化を目指して対策を進めてまいりましたが、今後もさらに一層の創意工夫と努力が必要な状況です。

 このように経営面では大変困難な環境下にはありますが、鹿児島医療センターのスタッフには鹿児島の地域医療を支えるべく日々懸命に努力していただいています。まだ院長に就任して日は浅いのですが、鹿児島医療センターが鹿児島における心臓病、脳卒中及びがん診療の一翼を担っているという医師や医療スタッフの心意気をひしひしと感じています。このような熱意にあふれた病院を健全に自立運営していけるような体制にすることは私の責務であると痛感し、皆様方のご支援をお願いするところです。

 日本社会は未曾有の感染症パンデミックを経験し、これまで経験したことのない人口減少、少子高齢化の時代に突入しています。病院は働き方改革の実行という新たな課題にも直面しながら極めて厳しい環境下での運営を強いられている状況です。そんな中でも私は鹿児島医療センターのスタッフが一丸となることで、必ずや鹿児島医療センターの基本理念である「信頼に応える病院」を実現できると信じています。そしてその実現に向けて努力と創意工夫を重ねて参る所存ですのでどうぞ宜しくお願い申し上げます。

令和7年4月
国立病院機構 鹿児島医療センター 院長 西尾 善彦