臨床研究部について

1. はじめに 臨床研究部長挨拶

国立病院機構(NHO)は、「質の高い医療の提供」と「充実した臨床研修」、「臨床研究の推進」を3つの使命を担っています。当院は、循環器、脳卒中、がん領域における診療について鹿児島県下で中心的な役割を担う施設ですが、それらの領域以外でも地域医療に貢献する優れた医療スタッフを数多く揃えており、質の高い医療を地域の皆さまに提供するとともに、次代を担う医療者の育成を推し進めています。使命の一つである「臨床研究の推進」を担うのが私たち鹿児島医療センター臨床研究部(KMC_ICR)です。

KMC_ICRは、科学的妥当性を持った臨床研究を円滑かつ安全に実施できるように支援する一役を担い、『すべての患者さんの幸福の希求のために、当施設発の新しいエビデンスを創出することで医療技術の向上に繋げ、国民の健康福祉に貢献する』というミッションを掲げています。ミッションを遂行するために、臨床研究の推進・支援に努め、研究に伴うコンプライアンスを監督して社会の信頼と負託に応え、人材の育成を行うことで地域医療に貢献する人材を輩出し、適切に情報を公開して研究実施の透明性を確保し対象となる方々の保護と研究の質を担保します。

公正な臨床研究の推進のためには、患者さんのご支援とご理解が不可欠となります。ご不明な点がございましたら私たちまでご遠慮なくお問い合わせください。なお、当院の倫理審査委員会などで承認された研究に関してはこちら、治験に関しては治験管理室で紹介しておりますので、どうぞご覧ください。

2.概要

臨床研究推進・支援

当院で実施されるすべての臨床研究や、当院が参加しているNHOで行われる大規模研究(EBM・ネットワーク共同研究)について、診療の科学的根拠となるデータを集め、質の高い臨床研究を効率的に進める支援を行っています。

治験推進・支援

患者さんに安全で有効な治療薬を届けるため、治験の推進・支援を積極的に行っています。治験に関する情報についてはこちら をご覧ください。

研究活動の公開・報告

当施設で実施している臨床研究についての情報を公開するとともに、他職種による活動報告とともにとりまとめ、NHO本部に報告して質の高い臨床研究の実施・継続を支援しています。臨床研究に関する情報についてはこちら をご覧ください。

倫理審査委員会

研究の倫理性や科学的妥当性、利益相反について、外部委員を交えて毎月審査しています。倫理審査委員会に関する情報についてはこちら をご覧ください。

3.臨床研究部組織図


4.競争的資金の適正管理・公正な研究活動の推進

独立行政法人国立病院機構鹿児島医療センターにおける公的研究費等の不正使用防止に関する基本方針

令和4年 9月13日 制定

公的研究費等の原資の大部分は貴重な税金であり、国立病院機構におけるさまざまな研究活動は、社会の信頼と負託によって支えられています。その不正使用は社会からの信頼等に反する行為であり、公的研究費等の運営及び管理については鹿児島医療センターの責任において適正に行わなければなりません。

鹿児島医療センターは、公的研究費等の不正使用根絶に向けて、不正使用を誘発する要因を除去し、抑止機能を有する環境・体制の構築を図るため、次のとおり公的研究費等の不正使用防止に関する基本方針を定めます。

  1. 不正使用防止対策に関する責任体系を明確化し、病院内外に公表します。
  2. 事務処理に関する職務権限やルールを明確化するとともに、不正使用防止対策に関する関係者の意識向上を図り、抑止機能を備えた環境・体制の構築を図ります。
  3. 不正使用を誘発させる要因に対応した具体的な不正使用防止計画を策定し、実効性のある対策を確実かつ継続的に実施します。
  4. 適正な予算執行を行うことができるよう、実効性のあるチェックが効くシステムを構築し、公的研究費等の適正な運営及び管理を行います。
  5. 公的研究費等の使用ルール等が適切に情報共有・共通理解される体制を構築します。
  6. 公的研究費等の不正使用が起きない、起こさない環境づくりを目指し、実効性のあるモニタリング体制を整備します。

(注)公的研究費等とは、補助金、委託費、運営費交付金、助成金、寄付金等を財源として鹿児島医療センターで扱うすべての研究費をいいます。

5.研究活動の不正行為に係る告発受付窓口の設置について

「独立行政法人国立病院機構鹿児島医療センターにおける研究活動の不正行為の取扱いに関する要領」に基づき、以下のとおり告発・相談受付窓口(以下通報窓口という。)を設置します。

名称
研究活動の不正行為に係る通報窓口
場所
〒892-0853 鹿児島市城山町8番1号
独立行政法人国立病院機構鹿児島医療センター 管理課
担当
管理課長
電話
099-223-1151
電話による受付時間は、平日8:30~17:15です。
FAX
099-226-9246
メール
623-info@mail.hosp.go.jp

申立書のダウンロード

告発に関する注意事項

当通報窓口は、独立行政法人国立病院機構鹿児島医療センターに所属する研究者等についての研究活動に係る不正行為を対象としています。

告発者の氏名及び連絡先をはじめ、不正行為を行ったとする研究者・グループ、不正行為の態様、不正とする科学的合理的理由、使用された公的研究費等について慎重かつ公正に確認させていただきます。原則としてこれらの情報が確認できない場合や、告発内容の信憑性が疑われる場合には、告発の受付は致しません。

当通報窓口に連絡をいただいた段階では、告発は受付されておりません。告発内容を精査した上で、告発を行った方に受け付けた旨明示します。また、調査に当たって告発を行った方にご協力をお願いする場合があります。なお、鹿児島医療センターでは告発者及び調査協力者に対して、情報提供等を行ったことを理由として、いかなる不利益な取扱いをすることを禁止しています。

調査の結果、悪意に基づく告発であったことが判明した場合には、告発を行った方の氏名の公表・処分等があり得ることを申し添えます。

治験について

当院では、専任の治験コーディネーターが治験業務を担当しています。
治験の受付は、治験管理室で行っておりますので、下記、治験窓口までご連絡ください。


 治験(第Ⅱ相または第Ⅲ相試験)の依頼
   鹿児島医療センター 治験管理室 治験窓口
   E-mail 623-chikenkyouyuu@mail.hosp.go.jp
   TEL 099-223-1151(代表)
  ※まずはE-mailにてご相談ください。
   担当者より返信いたします。
   2平日以内に返信がない場合には、代表電話にてご連絡ください。

 ※なお、当院では健康な方を対象とした(第Ⅰ相試験)は実施しておりません。

製造販売後調査について

当院では、製造販売後調査の受付は、治験管理室で行っております。
該当される場合には、受託研究窓口までご連絡ください。
 ・使用成績調査
 ・特定使用成績調査
 ・副作用・感染症症例調査

 ◇受託研究(製造販売後調査)の依頼
   鹿児島医療センター 治験管理室 受託研究窓口
   E-mail 623-jutakukenkyu@mail.hosp.go.jp
   TEL 099-223-1151(代表)
  ※まずはE-mailにてご相談ください。
   担当者より返信いたします。
   2平日以内に返信がない場合には、代表電話にてご連絡ください。

スタッフ構成について

治験管理室長 臨床研究部長
治験事務局長 薬剤部長
治験主任 薬剤師1名
治験コーディネーター 看護師等2名
治験事務 業務班長、他1名

当院では、患者さんのご協力により、「治験(ちけん)」を積極的に行っております。「新しいくすり」が、世に出るためには、「治験」という試験が必要になります。そこで、「治験」について、出来るだけわかりやすくご説明し、医学医療の進歩へ積極的に参加してくださる、患者さんのご理解とご協力を得られればと思います。治験への参加は、新しいボランティア活動です。

治験(ちけん)のはなし

治験(ちけん)とは

今までに一度は、飲んだり、注射したりしたことがあると思われる「くすり」。
この「くすり」は、研究者たちが発見し開発したものを、いきなり作って人に使われることはありません。「新しく開発しているくすり」は、いろいろな試験をして、有効性・安全性を国(厚生労働省)が承認してから、「くすり」として初めて私たちの手に届きます。このいろいろな試験の中で、「新しく開発しているくすり」を、実際に「人(患者さん)」に使用して、病気に対する有効性や安全性を確認する試験を『治験(ちけん)』といいます。

新しい「くすり」が、世にでるまでの道のり

基礎研究(2~3年かかります)

くすりの候補となる物質(成分)を発見する研究。

down

非臨床試験(3~7年かかります)

くすりの候補となる物質(成分)を、動物(ネズミ、ウサギ、イヌなど)に使用して、有効性や安全性を調べる試験。

down

臨床試験・・『治験(ちけん)』(3~7年かかります)

動物などによる試験(非臨床試験)で、安全性や有効性が確認された後に、実際に「人(患者さん)」に使用して、病気に対する有効性や安全性を確認する試験。治験は3つの段階に分かれています。

  • 第I相試験 健康な人を対象にくすりを使用して頂き、主に安全性を調査
  • 第II相試験 少数の患者さんを対象にくすりを使用して頂き、効果や安全性、適切な容量や使用方法の調査
  • 第III相試験 多数の患者さんを対象にくすりを使用して頂き、効果や安全性、効果の範囲や特徴などを調査
down

承認・審査(2~3年かかります)

治験(ちけん)で有効性や安全性が確認されたくすりの候補となる物質(成分)を、国(厚生労働省)が「くすり」として承認できるか審査

down

新しい「くすり」の誕生

「医薬品」として承認された後も、効果や安全性、適正な使用情報の調査は続きます。(市販後調査)

治験への参加の流れ

説明を聞く

病院で、担当医師や専任スタッフ(治験コーディネーター)から参加の依頼を受けたら、治験の目的や効果、予想される副作用などについて、説明文書が手渡され、十分に説明を受けて、ご理解ください。疑問に思うことは、ご遠慮なく質問してください。
※治験への参加は、患者さんの自由意志です。

pic001
down

同意する

治験の目的にあった患者さんを、選択し依頼するのは担当の医師ですが、治験への参加は、患者さんの自由な意志で決めることができます。説明を受け説明文書をよく読み、納得できれば、同意書にサインをすることにより治験に参加します。参加を断りたい場合でも、“お世話になっている先生だから・・・。”とか“同意しなかったらその後の診療に不利益が生じるかも・・・。”といった心配はまったくありません。
また、一度同意して参加された後でも、取り消すことはいつでも可能です。初めからお断りされても、途中からお断りされても、患者さんの不利益になるようなことは一切ありません。
※患者さんの安全性の面、病気の状態を判断した上で、担当医師より参加をお断りする場合があります。

pic002
down

参加する

治験に参加したら、外来患者さんの場合、治験スケジュールによって、来院回数が増えることが考えられます。これは日頃の診察以上のチェックポイントがあるので、より細かな診察と検査を受けられるためです。ただ、治験に参加したことによって診察費用が増えたら問題です。
そこで、治験に参加して頂く期間中の交通費などの、費用負担を軽減する体制を整えています。もちろん、治験のくすりは無料で提供されます。
※治験に参加したことによって、診察費用が増えることはありません。
※治験に参加中は、決められた用法用量を必ず守ってください。

pic003

終わりに

現在、使われている「くすり」も、治験を経て生まれたものです。国(厚生労働省)が承認していない「くすり」を使用するのは、かなり抵抗があるかもしれません。しかし、現在、日本で使われている「くすり」を使用しても克服できない病気や、未知なるウイルスと戦うためには、今後も新しい、「くすり」の開発が必要になってきます。
そのためには、治験が必要であり、患者さんのご理解とご協力なくしては成り立ちません。是非とも、治験に参加して下さるようご協力をお願いします。治験についてのご質問やご相談がございましたら、当院までお気軽にお電話してください。

現在実施中の治験

当院で実施中または実施済みの治験の情報です。

参加基準に当てはまらない場合や募集人数に達した場合は、治験の参加をお断りすることがありますのでご了承ください。

(当院では、健康な方を対象とした治験(第Ⅰ相試験)は実施しておりません)

2024年11月1日現在

診療科 対象疾患 治験薬 試験相 実施状況
皮膚腫瘍科 有棘細胞癌 MK-3475A 実施中
皮膚腫瘍科 悪性黒色腫 ABP206 症例登録終了
脳血管内科 虚血性脳卒中 Milevexian 実施中
脳血管内科 急性脳梗塞 Elezanumab 症例登録終了

手続き要領

治験関連文書

治験取扱規則(SOP)

治験及び倫理審査委員会 構成員

治験審査委員会構成員_2025.4

治験審査委員会 会議記録

治験審査委員会の開催情報

★★実施予定のもの★★

※原則第1木曜日 15:00~  ※書類締切は10営業日前

開催回数 開催日 書類締切
2025年度第1回(予定) 2025年4月10日(木曜日) 2025年3月27日(木曜日)
2025年度第2回(予定) 2025年5月1日(木曜日) 2025年4月16日(水曜日)
2025年度第3回(予定) 2025年6月5日(木曜日) 2025年5月22日(木曜日)
2025年度第4回(予定) 2025年7月3日(木曜日) 2025年6月19日(木曜日)
2025年度第5回(予定) 2025年8月7日(木曜日) 2025年7月24日(木曜日)
2025年度第6回(予定) 2025年9月4日(木曜日) 2025年8月21日(木曜日)
2025年度第7回(予定) 2025年10月2日(木曜日) 2025年9月17日(水曜日)
2025年度第8回(予定) 2025年11月6日(木曜日) 2025年10月22日(水曜日)
2025年度第9回(予定) 2025年12月4日(木曜日) 2025年11月19日(水曜日)
2025年度第10回(予定) 2026年1月8日(木曜日) 2025年12月18日(木曜日)
2025年度第11回(予定) 2026年2月5日(木曜日) 2026年1月22日(木曜日)
2025年度第12回(予定) 2026年3月5日(木曜日) 2026年2月18日(水曜日)
  →都合により第2木曜日に変更

1ヶ月に1回開催しています。(原則、第1木曜日)
書類受付の締め切りは、原則として治験審査委員会開催日の10営業日前です。
期限を守って、出来るだけ早めのご提出をお願いいたします。
初回申請の際には、申請書類等のチェックがありますので、必ず事前にご連絡ください。

鹿児島医療センター 治験の実績(直近10年間程度)

年度 2024
年度
2023
年度
2022
年度
2021
年度
2020
年度
2019
年度
2018
年度
2017
年度
2016
年度
2015
年度
第Ⅱ相試験*3 新規 1 0 0 1(1) 0 0 0 0 0 0
継続 1(1) 1(1) 1(1) 1 1 1 1 1 1 3
第Ⅲ相試験 新規 0 2(2) 1(1) 0 0 1 3(1) 0 3 1
継続 2(2) 1(1) 0 3(2) 6(3) 6(3) 6(4) 8(4) 6(4) 5(3)
再生医療治療 新規 0 0 0 0 0 0 1
継続 0 0 1 1 1 1 0
製造販売後(市販後)臨床試験 新規 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
継続 0 0 0 0 0 0 1 1 1 0
実施率(%)*2 100 66*5 100 100 65 33.3*4 73.9 - 100 100

( )は、全治験中の国際共同治験件数
*2 実施率は、各年度に契約が終了した治験(製造販売後臨床試験)の実施例数と初回契約症例数の比をもって算出する
*3 第Ⅱ相試験は第Ⅱ/Ⅲ相試験を含む
*4終了課題 1課題 1/3=33.3%
*5エントリー中止課題含む

年度 2024
年度
2023
年度
2022
年度
2021
年度
2020
年度
2019
年度
2018
年度
2017
年度
2016
年度
2015
年度
受託研究(使用成績調査、特定使用成績調査等) 8 84 101 55 66 70 79 83 76 74

製薬企業等の皆様へ

平素より格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。
医薬品・医療機器の「使用成績調査」「特定使用成績調査」「副作用詳細調査」についてはGPSP省令遵守の観点から受託研究契約や覚書を締結する必要があります。

しかし昨年度、未契約の状態で副作用感染症詳細調査を当院医師へ依頼されているものが複数件確認されております。

つきましては上記の調査依頼を医師等へ行う場合は、治験管理室 受託研究窓口までご連絡くださいますようお願い申し上げます。
なおご連絡先の詳細はページ上部をご確認ください。

臨床研究部長 松下 茂人

医療機関情報

「治験等の効率化に関する報告書」対応の情報です。

治験実施体制

1. 日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 臨床評価部会
  「医療機関からの治験体制等の情報発信に関する検討」に基づく情報です。

当院で実施可能な検査、検査機器一覧

臨床検査基準値一覧

当院臨床検査科における精度管理に関する証書

過去に実施した治験

倫理審査委員会

1.倫理審査委員会委員

2.倫理審査委員会規定

3.臨床研究実施のフロー(院内用)

準備中

4.審査記録

5.2025年度倫理審査委員会・治験審査委員会 開催日及び書類締切日

開催回数(予定) 開催日 書類締切日(10営業日前)
2025年度第1回 2025年4月10日(木曜日) 2025年3月27日(木曜日)
2025年度第2回 2025年5月1日(木曜日) 2025年4月16日(水曜日)
2025年度第3回 2025年6月5日(木曜日) 2025年5月22日(木曜日)
2025年度第4回 2025年7月3日(木曜日) 2025年6月19日(木曜日)
2025年度第5回 2025年8月7日(木曜日) 2025年7月24日(木曜日)
2025年度第6回 2025年9月4日(木曜日) 2025年8月21日(木曜日)
2025年度第7回 2025年10月2日(木曜日) 2025年9月17日(水曜日)
2025年度第8回 2025年11月6日(木曜日) 2025年10月22日(水曜日)
2025年度第9回 2025年12月4日(木曜日) 2025年11月19日(水曜日)
2025年度第10回 2026年1月8日(木曜日) 2025年12月18日(木曜日)
2025年度第11回 2026年2月5日(木曜日) 2026年1月22日(木曜日)
2025年度第12回 2026年3月5日(木曜日) 2026年2月18日(水曜日)
  →都合により第2木曜日に変更

※原則第1木曜日
※書類締切は10営業日前

研究の実施に関する情報公開について

皮膚腫瘍科

血液内科

耳鼻咽喉科

婦人科

消化器内科

循環器内科

心臓血管外科

不整脈治療科

皮膚腫瘍科・皮膚科

消化器内科

麻酔科

歯科口腔外科

病理診断科

臨床検査科

放射線科

薬剤部

看護部

活動報告

1.ご挨拶

2024年度から鹿児島医療センターの鹿児島大学連携講座名を先端医療学講座の「生理活性物質制御学」から「臨床情報医工学分野」に変更し、今年度就任した松下茂人臨床研究部長を中心に活動を開始しました。今まで生化学関連の研究が中心でしたが、それに加え、予防・診断や治療医学など、実践的・包括的な臨床研究も可能となりました。大学院生にとって基礎的研究から臨床的研究まで幅広い選択ができるようになっています。今年度秋より1名、来年度(2025 年度)さらに1名の大学院生が増え、指導教官(客員教授)も以前より充実することになりました。若い研究家が研究の面白みを感じ、きちんとした成果が出るように手助けをしたいものです。

最近、日本の研究は論文数が減少し、さらに信頼性も揺らいでいます。2014 年 1月、STAP 細胞の論文が撤回された事件は話題になりましたが、その後の 10 年間に研究不正などで論文を撤回、または取り消しをしている撤回論文数世界のランキング上位 10 名中 5 名が、日本の医師で有ったと報告されています。日本の研究の復活が喫緊の課題です。若い人たちの新鮮な感覚で研究を行い、質の高い研究発表に期待しています。臨床成果と同時に研究でも実績を上げ、自分自身の努力をしっかりと形に残してもらいたいものです。鹿児島医療センターが、若者が集まる臨床も研究も強い医療施設になることを祈念しております

院長 田中 康博

2.2023年度 臨床研究を振り返って

準備中

3.臨床研究部の活動 (2023年度)

(1)臨床研究

本部主導大規模臨床研究(EBM 研究)・NHO ネットワーク共同研究にも積極的に参加しており 14 課題あります。
内訳としては血液内科が 3 課題、循環器内科、糖尿病・内分泌内科、外科、病理診断科が各 2 課題、脳・血管内科、歯科口腔外科、臨床研究部主導が各 1 課題でした。

NHO が主導する研究以外でも、各部署で委受託研究や独自の研究等が行われており、研究課題数は全部で 94 課題ありました。

詳しくはこちらへ

 

(2)競争的研究費

日本学術振興会科学研究費について主任研究者としての獲得が 2 課題あり、歯科口腔外科の中村先生と大河内先生がそれぞれ獲得されています。
また、分担研究者としても歯科口腔外科が 1 課題獲得しています。厚生労働省科学研究費は小児科が 1 課題、日本医療開発研究機構研究費を皮膚腫瘍科が 3 課題、脳・血管内科が 1 課題いずれも分担研究者として獲得しています。
また、民間セクターからの寄付金は 7 課題あり、心臓血管外科が 3 課題、消化器内科、外科、皮膚腫瘍科、診療放射線科が各 1 課題でした。

詳しくはこちらへ

 

(3)治験・製造販売後調査

2023 年度(令和 5 年度)は第Ⅲ相の新規契約治験が 2 課題ありました。継続契約の治験は第Ⅱ相が 1 課題、第Ⅲ相が 1 課題でした。すべて医薬品の治験でした。診療科の内訳としては脳・血管内科が 2 課題、循環器内科、皮膚腫瘍科が各 1 課題でした。
そのうち 2023 年度に終了した治験が 1 課題あり、契約症例 6 例のうち実施症例が 4例であり実施率としては 66%でした。受託研究については症例登録のあった課題が 19 課題あり、内訳としては循環器内科、血液内科、皮膚腫瘍科が各 5 課題、心臓血管外科が 2 課題、脳・血管内科、耳鼻咽喉科が各 1 課題でした。
2023 年度の治験・受託研究請求額は 1,796 万円でした。

詳しくはこちらへ

 

(4)倫理審査委員会・治験審査委員会・研究倫理教育

2023 年度に倫理審査委員会、治験審査委員会はともに 12 回開催しました。両審査委員会の外部委員として、元南日本新聞の有川賢司先生と元小学校校長の江口惠子先生に引き続きご協力いただいています。
臨床研究を行う上での倫理教育について、国立病院機構では臨床研究に関わる全ての職員においては研究倫理教育 e ラーニングプログラムである eAPRIN の修了を必須としております。臨床研究部では鹿児島医療センターの eAPRIN の受講登録・管理・受講支援を行っています。2023 年度の受講総登録者は 363 名でした。うち年度内に休職・退職した職員 16 名を除いた 347 名のうち 346 名が受講修了し、終了率は 99.7%でした。

(5)学会発表・論文発表 (当院所属として機構本部が認めたもの)

学会発表については、国内学会が 132 題、国際学会が 5 題でした。論文については、英語論文は 26 編、そのうち当院職員が筆頭筆者になっている英文原著論文は 7 編でした。和文原著・総説で当院職員が筆頭筆者になっているものが 5 編でした。

業績発表、独自研究

WoS/PubMED掲載英文論文

英文原著論文(筆頭筆者)

7本

英文原著論文(筆頭筆者以外)

12本

英文原著論文以外(筆頭筆者)

5本

英文原著論文以外(筆頭筆者以外)

2本

和文原著論文等(筆頭筆者)

5本

和文原著論文等(筆頭筆者以外)

0本

国際学会発表(演者のみ)

5回

国内学会発表(演者のみ)
*総会、地方会、シンポジウム、一般演題含む

132回


(6)日本学術振興会科学研究費申請

日本学術振興会科学研究費の申請にあたって「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」に基づく「体制整備等自己評価チェックリスト」および、「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドラインに基づく取組状況に係るチェックリスト」を提出する必要があります。臨床研究部では、毎年この 2 つのチェックリストを文部科学省に提出しています。 また「体制整備等自己評価チェックリスト」については厚生労働省にも提出しています。
研究費の不正使用防止に向けた取り組みとして、公的研究費を使用されているすべての医師、事務職員、管理者に対してコンプライアンス教育のための動画を作成し、視聴後に誓約書を提出していただいています。

(7)鹿児島市医報学術への寄稿

当院は毎年 2 回春と秋に鹿児島市医報の「学術」コーナーに寄稿しています。
2023 年度は第 62 巻 9 号に腎臓内科の古庄先生の「高齢者に腹膜透析という選択肢を届ける」が、第 63 巻 3 号には精神科の安庭先生の「鹿児島医療センターにおけるせん妄診療について」が掲載されました。

4.業績

研究業績集に各年度の業績をまとめて発表しています。

5.英文論文一覧

鹿児島大学連携大学院

鹿児島医療センターで鹿児島大学大学院の学位を取得することができます。

鹿児島医療センターは2009年度より鹿児島大学大学院医歯学総合研究科の連携大学院となっています。

連携大学院講座「臨床情報医工学」では、優秀かつ実践的な医療者を育成する役割を果たすために、多分野の教官による指導体制を確立して、当院で経験する高度医療と鹿児島大学大学院での基礎的研究との融合を図り、大学院生が先進的かつ包括的な臨床研究を遂行できるように支援しています。臨床研究部には各種分析装置や実験機器が多数整備されていますので、それらを用いた実験研究を行うことも可能です。

鹿児島大学大学院医歯学総合研究科臨床情報医工学
研究室 部局 大学院医歯学総合研究科
専攻 先進医療学講座(連携講座)
分野 臨床情報医工学
客員教授 (担当科目:がん診療学) 松下 茂人
客員教授 (担当科目:循環器病学) 東 健作
客員教授 (担当科目:臨床検査医学) 梅橋 功征
主要研究概要 がん・循環器・脳卒中領域などの臨床研究

 

大学院の詳細、入試案内等については鹿児島大学大学院医歯学総合研究科ホームページをご覧ください。

鹿児島大学大学院 HP