僧帽弁閉鎖不全症に対する経カテーテル的僧帽弁修復術(MitraClip)が50例に達しました

2022年3月18日 当院で僧帽弁閉鎖不全症に対する経カテーテル的僧帽弁修復術(MitraClip)を初施行し、以降症例を積み重ね、この度2024年10月24日に50例に達しました。

もともとTAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)で培われた当院ハートチームの成熟もあり、周術期に大きなトラブルもなく、 安全に症例を積み重ねてきました。

また本年度より、2機種目のクリップデバイスである「PASCAL Precisionシステム」を使用できるようになりました。新たな選択肢もできて、以前より患者さまに適した治療方針の選択が可能となっております。

さらなる治療技術の向上を目指し、引き続き努力を重ねてまいります。

PASCAL Precisionシステム(画像提供:エドワーズライフサイエンス)

 

「僧帽弁閉鎖不全症」とは

僧帽弁という逆流防止の心臓弁の閉鎖が悪くなり、血液が心臓内で逆流してしまう病気で、効率的な心臓のポンプ機能が妨げられ、心臓に無理がかかった状態(心不全)を引き起こします。

治療としては外科手術が行われておりますが、体力が低下している方・手術による合併症リスクが高い方など、手術が困難な患者さまに2018年4月から国内で経カテーテル的僧帽弁修復術という新しい治療法がはじまりました。

その特徴は、カテーテルを使用し、開胸することなく、心臓を止めることなく、低侵襲に僧帽弁にクリップをかけることで逆流を制御する方法です。従来の外科手術と比較し、人工心肺を使用しなくて済むことから、身体への負担が少なく、高齢で体力が低下したり、 他の疾患を有していたりする手術困難な患者さまが対象となります。

 

文責:第二循環器内科医師 園田 幸一郎