臨床工学技士部門の取り組み ― 補助人工心臓(LVAD)管理 ―

臨床工学技士部門では、人工呼吸器や血液浄化装置など、生命維持に欠かせない医療機器の安全な運用と保守管理を行っています。
その中でも特に高度な専門知識と技術を要する業務が、重症心不全患者さんに装着される補助人工心臓(LVAD:Left Ventricular Assist Device)の管理です。
当院は2024年に補助人工心臓管理施設として認定を受け、現在
・HeartMate 3(HM3):3名
・HVAD:1名
・EVAHEART:1名
の計5名の患者さんが治療を継続されています。
LVADは、左心室のポンプ機能を補助して全身に血液を送り出す装置であり、心臓移植までの橋渡し(ブリッジ)や心機能回復を目的として使用されます。

補助人工心臓管理の様子

地域で受けられる安心の治療体制

これまで、LVAD装着後の管理は主に九州大学病院でのみ実施されており、患者さんとご家族は毎月福岡まで通院する必要がありました。交通費や宿泊費などの経済的負担に加え、長距離移動に伴う身体的・精神的負担、さらにはケアギバー(介護者)の時間的な制約など、多くの課題がありました。そのため、治療を継続するために福岡近郊へ転居せざるを得ないケースもありました。

しかし、当院がLVAD管理施設として認定されたことで、鹿児島市および周辺地域にお住まいの患者さんが、地元で継続的な管理を受けられる体制が整いました。これにより、患者さんとご家族の通院・生活の負担が大幅に軽減され、安心して地域での生活を送ることができるようになっています。

安全管理とチーム医療の強化

当院では手術を受けた患者さんに対し、入院時の装置管理や外来での定期点検を中心に対応しています。臨床工学技士は、装置作動確認・パラメータ監視、異常アラーム対応、患者さん・ご家族への機器操作指導などを通じて、安全で安定した装置運用を支えています。アラーム発生時やトラブルが疑われる際には、九州大学病院と迅速に情報共有し、連携して対応しています。また、在宅管理においても、装置の衛生管理やバッテリー交換、トラブル発生時の初期対応など、安心して在宅生活を送るための支援を行っています。

さらに、循環器内科・看護部・リハビリ部門と協力し、LVADチームカンファレンスを定期的に開催し、装置状態や生活状況を多職種で共有し、地域での安全な治療継続を支えています。今後も、LVAD装着患者さんが鹿児島の地で安心して生活を続けられるよう、技術研鑽とチーム医療のさらなる強化に努め、「確かな技術で命を支える」臨床工学技士であり続けたいと思います。

(文責:主任臨床工学技士 倉見谷 耕太)