「鹿医セン便り Vol.236」

診療科の紹介「心臓血管外科」

幅広い心臓血管疾患に対する専門的外科治療

 鹿児島医療センター心臓血管外科では、虚血性心疾患、弁膜症、大動脈疾患、末梢血管疾患など、幅広い心臓血管疾患に対する外科治療を行っています。予定手術から緊急手術まで、患者さんの病態・年齢・併存疾患・生活背景などを総合的に評価し、一人ひとりに適した治療を提供することを基本方針としています。
 当科では、冠動脈バイパス術や弁膜症手術などの心臓手術に加え、急性A型大動脈解離や胸部・腹部大動脈瘤などの大動脈疾患の治療にも力を入れています。特に急性A型大動脈解離など一刻を争う緊急大動脈疾患に対しては、循環器内科、救急科、麻酔科をはじめとする院内各部門と緊密に連携し、迅速に手術治療へ移行できる体制を整えています。

外科手術と血管内治療を融合した包括的治療

 大動脈疾患に対しては、従来の開胸・開腹による人工血管置換術に加え、身体への負担が比較的少ない胸部・腹部ステントグラフト内挿術(TEVAR・EVAR)にも積極的に取り組んでいます。疾患の部位や形態、患者さんの年齢、全身状態などを総合的に評価し、外科手術と血管内治療それぞれの特長を生かしながら、患者さんごとに適切な治療方法を選択しています。開胸・開腹手術だけでなく血管内治療という選択肢を持つことで、より幅広い患者さんに治療を提供できることは当科の大きな特徴の一つです。
 また、循環器内科、麻酔科とのハートチーム医療を基盤とし、弁膜症治療では外科手術とTAVIの双方を含めた包括的な治療戦略を構築しています。各診療科がそれぞれの専門性を発揮し、患者さんの病態や全身状態、生活背景なども踏まえながら、個々の患者さんにとって最善と考えられる治療方針を決定しています。
 近年、心臓血管外科領域では治療成績の向上だけでなく、患者さんの身体的負担をできる限り軽減することも重要になっています。当科ではTEVAR・EVARをはじめとする低侵襲治療を積極的に行うとともに、今後は低侵襲心臓手術(MICS)の導入にも取り組み、より身体への負担が少なく、早期回復・社会復帰につながる心臓血管外科治療を目指していく予定です。

ハートチーム医療と地域連携による質の高い医療提供

 心臓血管外科の治療は、手術だけで完結するものではありません。術前評価から手術、集中治療、リハビリテーション、退院後の診療まで、循環器内科、麻酔科、看護師、臨床工学技士、リハビリテーションスタッフなど、多職種がそれぞれの専門性を生かして患者さんを支えています。また、退院後も安心して地域で診療を継続していただけるよう、紹介元の先生方との連携を大切にしています。
 私たちは、冠動脈・弁膜症手術などの標準的な心臓手術から、緊急大動脈疾患への対応、さらにTEVAR・EVARなどの血管内治療まで、幅広い治療選択肢を提供できることを当科の強みと考えています。今後も新しい知見と技術を着実に取り入れ、患者さん一人ひとりにとってより良い治療を追求するとともに、地域の先生方との信頼関係を大切にしながら、鹿児島県の循環器医療に貢献していきたいと考えております。

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