第11回 心臓・血管病市民公開講座における質問への回答について

第11回 心臓・血管病市民公開講座(R6.11.2)における質問への回答について

先日開催いたしました市民公開講座へは大変多くの方にご来場いただいたこと感謝申し上げます。

また、当日はアンケートにご回答いただき、今後の参考とさせていただきたいと思います。

アンケート中にございました質問について、以下のとおり回答いたしますのでご覧いただけたら幸いです。

Q1.講演2で救命の方法を学んだ。倒れている人が脳なのか心臓なのか分からない時はどうすればよいのか。薩摩川内市から運ばれた人の回復率が高いと聞きましたが、救急処置は低かったため関連が分からなかった。

回答
倒れている人の意識、呼吸がない場合は心肺蘇生を開始します。脳が原因で心停止になる場合もあります。呼吸があるかの判断が難しい場合、とりあえず心肺蘇生を開始します。胸骨圧迫は痛いため、心停止になっていなければ体動がみられます。倒れている人が少しでも自分で体を動かしているようであれば、心停止ではないので心肺蘇生を中止して大丈夫です。
救急蘇生法は実施すれば良いというものではありません。コツがあるので、それを実践することで質の高い心肺蘇生法に繋がります。薩摩川内市は医師会と消防が協力して、質の高い心肺蘇生法を市民に講習しています。そのため、全国と比較して社会復帰率が高くなっていたことが考えられます。

Q2.心療内科との関わり合い、関連性に治療できないのか?

回答
心療内科では、緊張やストレスなどの心理的な影響が原因で起こる身体の疾患(心身症)を従来の身体的な治療のみならず、併せて心理面での治療やケアを行っています。私たち循環器内科の入院患者さんも、心療内科的アプローチが必要なる患者さんが一定数存在します。当院には心療内科は併設しておらず、精神科の医師がその中心的な役割を担っています。当該診療科、精神科、看護師、公認心理師等を含めた多職種でケアに当たる試みをおこなっています。

Q3.子供から大きな病院で診てもらうように言われて今日来ました。かかりつけの先生はあまりひどくないと言っていますが、どうしたらよいかわからない。

回答
患者さんの病気をご家族が心配されることは、もっともなことだと思います。また患者さん、ご家族が病気についての説明を、詳しく聞いて、納得することは大事なことで必要な過程です。まずはご自身が納得できるよう、かかりつけの先生や看護師に病気についての説明をしてもらえるよう、頼むことが必要だとおもいます。病状説明という医療行為は決して簡単なことではないので、できれば前もって約束されたほうがいいと思います。可能な限り、理解不足がないようご家族や頼れる方と一緒にうけることもお勧めします。それでも納得できない場合や、大きな病院での詳しい検査が必要な場合は、かかりつけの先生と関係を良好に保ちながら、きちんと紹介してもらうことが、大事だと思います。

Q4.84歳。紹介状がないとみてもらえないのですか?

回答
2023年10月から、医療機関は大きく次の二つに分類されることが国の方針によって定められました。
①近隣のクリニックなど日頃から患者さんを診察してもらう「かかりつけ医」
②クリニックから紹介を受けて専門的で高度な診療を行う「紹介型病院」
当院は「紹介型病院」に該当するため、紹介状がない場合には診療費とは別に初診時に7,700円、また、再診時に毎回3,300円を患者さんにご負担いただくことになります(救急車で運ばれた場合や、当院への紹介後に当院での継続治療が必要な場合などの例外を除く)。

Q5.8年ほど前狭心症の治療をした。昨年CT検査で狭心症ではないと診断された。治る事があるのか?

回答
狭心症であれば治療により症状が改善することが多いです。詳しくは担当医の先生とご相談ください。

Q6.胸の痛みはないのですが、左胸がつかえる感じがあるのですが、疑いがありますでしょうか?

回答
症状としては非典型な印象ですが、可能性は否定できませんので、一度早めの受診をお勧め致します。

Q7.心筋の手術後、7.8年になります。C.P.Kが高いですが、時々検査してもよいですか?症状が出たときに来るように言われています。

回答
ご心配であれば年数回程度の受診は可能ですので、一度担当の先生とご相談頂ければと思います。

Q8.ペースメーカーで通院中。歯茎がいたいです。左肩が痛い等の症状もあります。どう先生に伝えたら良いですか。

回答
そのままお伝え頂ければ大丈夫です。次回受診時にご相談ください。

Q9.心臓の働きが年々低下する原因と対処法について教えてほしい。心不全とはどういう病気なのか?動機、息切れ疲れやすい。年齢に伴い体がしんどくなってきました。心臓との関連について。

回答
心不全は、心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送ることができなくなる状態を指します。原因としては、心筋梗塞(心臓の血管の異常)や高血圧、心臓弁膜症、心筋症(心臓の筋肉の異常)などが挙げられます。症状としては、息切れやむくみ、体のだるさ、体重の急激な増加などが見られます。

Q10.水分補給と心臓病は関係ありますか?持病がいくつかあるとき、病院が別々になってしまっているのですが、主治医が決まっていれば問題ありませんか?(心臓病、甲状腺、整形外科)

回答
脱水予防のために、水分補給は重要です。しかし、心臓病の種類によっては、水分制限が必要な場合もがありますので、主治医の先生と良く相談してください。持病がいくつかある場合、当院は、多くの病気をかかえておられる患者さんに「マルチモビディティ(多疾患併存)外来」を開設しておりますので、ご活用いただければ幸いです。

Q11.心室細動についてがよかった。心房細動と同じですか?

回答
心室細動と心房細動どちらも不整脈(心拍の異常なリズム)の一種ですが、心臓の中での発生部位が異なります。心房細動の場合には、心房が1分間に400~600回のペースで、「無秩序に」「細」かく(速く)「動」きます。この状態では、心房内で血液が滞留しやすくなるため、血栓(血のかたまり)ができるリスクが高まります。

Q12.大動脈はどれくらい大きくなったら手術が必要か。植込み型除細動器は何年したら取り換える必要があるか。

回答
動脈瘤は、動脈の壁が局所的に異常に膨らんだ状態を指します。一般的には、心臓に近い大動脈(胸部大動脈瘤)では直径が55mm以上、心臓から離れたお腹の大動脈(腹部大動脈瘤)では直径が60mm以上で手術が必要になることが多いです。また、植込み型除細動器はメーカーや種類によっても異なりますが、10年程度でバッテリーの交換が必要となります。

Q13.当院に主人が受診中ですが年一回程度です。高齢で心配のこともあり勉強したくて参加しました。季節に気を付けることがありますか?

回答
市民公開講座のなかでも話がありましたが、冬はヒートショックの好発時期です。これからどんどん寒くなってきますので、入浴の際は、脱衣所や浴室を温めるなどして予防に勤めていただきたいです。また、寒いと血圧は上昇します。温かい格好で外出してください。 年末年始は忘年会や新年会など飲酒する機会が増えたり、食生活が乱れやすくなります。親戚が集まったり、年末年始しか会うことができない友人との会食もあるかと思いますが、命あってのことなので、食べ過ぎ・飲みすぎにはご注意ください。また、もし飲みすぎたな・食べ過ぎたなと思ったら、その後普段以上に節酒や減塩を意識していただけたらと思います。

Q14.画像や動画が分かりやすかった。今後の生活に生かします。薬の一包化にかかる費用はだいたいどのくらい?

回答
42日分以下の場合:7日分ごとに340円、43日以上の場合:一律2,400円となります。医師の指示があれば医療保険が適応になりますので、この料金から、保険の負担割合に応じて1~3割をお支払いいただきます。医師の指示がなければ全額自己負担となる場合もありますので、一包化を希望されるときは医師にその旨をお伝えください。

Q15.県外にいる息子が閉そく性肥大型心筋症で一人で夜中に帰宅、朝食にご飯を食べたら胸が痛いとのこと。その後、朝牛乳一杯、野菜ジュース、昼弁当、夜ナッツサラダ食べているが、よいでしょうか?

回答
県外にいるご家族が病気を患っていると心配も大きいことと思います。現時点でそのお食事で問題ないですよ、改善が必要です、ということは申し上げることができません。息子様に適した食事であるかどうかは、息子様が他に病気を抱えていないか、どのようなお薬を飲んでいるのか、食事の量はどの程度かなど、息子様の全体像から考える必要があります。息子様の病気を一番知っているのはかかりつけの医師だと思いますで、医師に相談をしていただくのが一番だと思います。